ロータスクリニック 白井医師に聞く 新型コロナウイルス Q&A

ロータスクリニック
院長 白井拓史 さん

●ロータスクリニック
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Q:どんな症状が出たら、コロナウイルスの感染を疑うべきですか?

A:初期症状としては、発熱や咳、頭痛、倦怠感、息苦しさなど、風邪のような症状があります。下痢や吐き気などの消化器症状が現れることもあり、また特徴的な症状として、味覚・嗅覚障害が出ることもあります。熱や咳などの初期症状だけでは、普通の風邪やインフルエンザなどと区別できないため、注意が必要です。症状が続く場合は、すぐに来院するのではなく、かかりつけの病院や相談センターに、まずは電話をしてください。

Q:PCR検査、抗原検査、抗体検査の違いはなんですか?

A:PCR検査と抗原検査は、コロナウィルスに「現在感染しているか」を確認する検査で、抗体検査は「過去に感染していたか」を調べます。

PCR検査はウィルスの遺伝子を検出し、抗原検査は抗原というタンパク質を検出します。抗原検査は、PCR検査に比べて短時間で結果が出ますが、検査精度はPCR検査に劣ります。

抗体検査は、ウィルスに感染すると体内で作られる「抗体」を調べます。ウィルスに感染した場合だけでなく、ワクチンを打った場合にも陽性となります。

Q:F0やF1になったら、まず何をすべきですか?

A:感染が判明した(F0)場合は、医療機関の指示に従ってください。また、F1も検査を行う必要があるため、医療機関の指示に従ってください。指定病院に入院する場合は、症状の程度に応じて患者が振り分けられます。F1で隔離される場合は、隔離施設なのか自宅なのか、隔離期間も状況に応じて保健省の対応が変化するので、医師の指示に従ってください。

また、在留邦人の状況把握のため、F0となった場合には日本国大使館もしくは総領事館に連絡してください。

Q:F0になった場合、重症化しやすい人はどんな人ですか?

A:基礎疾患があり、年齢が高いほど重症化リスクも高い傾向にあります。高血圧や糖尿病、脂質異常症、肝疾患、慢性腎臓病などをお持ちの方は注意が必要です。

肥満の人や運動習慣がない人も重症化しやすく、死亡リスクが高いと報告されています。男性の方が女性より重症化するリスクが高いという報告もあります。コロナ禍で外出もままなりませんが、運動不足やコロナ太りにならないように注意が必要です。

Q:F0患者は実際にどのような治療を受けますか?

A:感染しても無症状の場合は、治療を行わず慎重に経過観察となります。風邪のような症状で咳や発熱などが軽度の場合には、対症療法といって症状に応じた薬を使用します。

重症化し肺炎などを起こした場合は、酸素投与や点滴などで全身管理を行い、抗ウィルス薬や炎症を抑えるステロイド薬を投与します。肺炎が重症の場合にはエクモ(ECMO)という人工肺を使わなければならないケースもあります。

Q:現在、ベトナムで接種できるワクチンについて教えてください。

A:ベトナムが調達しているワクチンは、英アストラゼネカ製、米モデルナ製、米ファイザー製、中シノファーム製、露スプートニク製などです。ベトナムで接種されているワクチンの60%強がアストラゼネカ製で、日本やアメリカなどから数回にわたりワクチンの供与を受けています。

また、ベトナム国産ワクチンの開発も進められています。保健省は、異なるメーカーのワクチンの組み合わせ接種も一部認めています。

Q:ワクチン接種後に具合が悪くなった場合、どうするべきでしょうか。

A:一般的な副作用は、注射部位の痛みや倦怠感、頭痛、筋肉痛、発熱など。通常は経過観察で自然に軽快し、熱や痛みが強い場合は解熱鎮痛剤で対応します。

非常に希にアナフィラキシーという急速に発症する全身性のアレルギー反応がみられることがあります。症状は接種後、概ね30分以内にみられるじんま疹、吐き気、下痢、血圧低下、呼吸困難など。ワクチン接種会場では、接種後にこのような異常が発生しないかどうか、30分~1時間の経過観察をすることになっています。

アストラゼネカ製のワクチンは、非常に稀に血小板の低下を伴う特殊な血栓症が生じるという報告があります。接種後に具合が悪くなり、強い症状がある場合や改善しない場合は、医療機関に相談してください。

ワクチンを接種することで、新型コロナウイルスに感染しにくくなり、感染した場合でも重症化するリスクを減らす効果が期待できます。これにより、周囲にも感染を広げにくくなり、自分だけではなくお子さんなどの家族を守ることにもなります。

PCR検査が受けられる医療機関

<HCMC>
●ラッフルズメディカルホーチミン市クリニック
電話:(028) 3824 0777(日本語、英語、ベトナム語)

●ファミリーメディカルプラクティス・ホーチミンシティ
電話:(028) 3822 1919

●FV病院
電話:(028) 5411 3333

●DYMメディカルセンターベトナム
電話:028 3521 0172(日本語)

<HANOI>
●ラッフルズメディカルハノイクリニック
電話:1900 545 506(日本語)

●ファミリーメディカルプラクティス・ハノイ
電話:097 725 3311(日本語デスク)

●ホンゴック病院
電話:093 2232 016(英語)