HANOI
食の宅配アプリを使い子どもたちに食料支援

キャピチー代表
森 大樹 さん
1997年生まれ。2017年からベトナム在住、2019年にキャピチー(Capichi)を創業。
2020年よりフード宅配アプリプラットフォーム事業を展開する。
Website:https://order.capichiapp.com

今あるツールを使いできることをかたちに

コロナ禍の生活において、フード宅配サービスは生命線となっている。

宅配アプリ「キャピチーデリバリー」は、2021年にサービスを開始。日本語を皮切りに英語、中国語、韓国語の4ヵ国語に対応し、日本、ベトナム、西洋など幅広いジャンルの飲食店から宅配できるツールとして、ホーチミン市やハノイで認知度を高めた。2021年8月現在、登録者は約5万人にのぼる。

「ベトナムでコロナ第4波が起こるまで、売上の98%は届いたらすぐに食べられる飲食店のメニューでした。現在は飲食店営業に規制があり、スーパーなどの食材店の売上が大部分を占めています。

社会的隔離措置が長期化する中、シャンプーや化粧品を買いたいという声もよく聞きます。そこで、ヘアサロンやスパに声をかけて、食品以外の物販も一時的に始めました。数十人でも、『助かる』と感じてくれたら嬉しいです」

8月には、#DeliverForALL(すべての人に宅配)キャンペーン第1弾として、ベトナム北部を中心に、貧困に苦しむ子どもを支援する非政府組織(NGO)「ブルードラゴン」と共同でチャリティー活動を開始。アプリから1口5万VNDで募金できるシステムで、初日だけで予想を超える約15万円が集まった。

「弊社スタッフを通じて知り合ったブルードラゴンとは、以前から何か一緒に取り組みたいと考えていました。コロナの状況が急激に悪化し、困っている子どもが増えたと聞き、今あるツールでできることを急いでかたちにしました。支援金は子どもたちに届ける食料や生活必需品の購入に充てられます。

ベトナムで起業したのだから、ベトナム社会に貢献したいと常に思っています。今後も継続的に支援していくつもりです」

ステイホームにちょっとした楽しみを

活動はさらに広がりを見せる。キャンペーン第2弾として、日本の絵本の普及活動を行う「モグ絵本プロジェクト」との企画が8月26日にスタートした。

キャピチー内の協力店への注文時に絵本メニューを選択すると、中秋節にちなんで月がテーマの絵本が無料で届く。
「学校にも、遊びにも行けない子どものいる家庭に、少しでも新鮮な出会いがあればと思いました。モグの勝恵美さんとは以前から親交があり、僕自身も絵本に良い思い出があります。この企画も季節ごとに発信していきたいですね。

ベトナム語の絵本なので、もちろんベトナム人にアピールしたいですが、ベトナム語に普段あまり触れていない日本人にも手にとってもらいたいです」

「ブルードラゴン/Blue Dragon」募金による、孤児院への食料配達の様子

募金活動に賛同したベーカリー「キナポンズ」のパンを受け取った子どもたち

(写真右)「ブルードラゴン」は住居を失った子どもたちが住めるシェルターを設立するなど、活動は多岐にわたる (写真左)越語版『いただきますのおつきさま』『おつきさまひとつずつ』。日本の絵本はモグ(MOGU)絵本特設ストアで販売