なるほどthe住まい No.26

危険物落下事故、だれが責任をとる?

ハノイのKim Maエリアに聳え立つコンドミニアムで最近起きた恐ろしい出来事についてお話しします。
 
ベトナム国中にマンションを販売する大手コングロマリットの販売物件で、個人オーナーと賃貸契約を結ぶお客様が多数いらっしゃいます。ある日、お客様から震える声で問い合わせをいただきました。4階の共用スペースでお子様を遊ばせていたところ、公園遊具に高層階から外れたバルコニーガラスが落下してきたというんです。幸いにもお子様に怪我はありませんでしたが、事態が事態だけに、放っておく訳にはいきません。すぐにそのお客様から、ローカル不動産業者が顧客に送信した顛末説明文のメールを転送いただきました。事故について、「作業中のワーカーが誤ってガラスを落とした」と書かれていました。ワーカーの責任で、ガラスの施工に問題はないという説明に誰が納得するでしょう? そもそもなぜガラスを外すような作業を行ったのか? 全く意味が分かりません。調べて分かった事実は、ガラスの落下の原因は、その部屋の住人がガラスを支えるアームに何かの弾みに衝撃を与え、亀裂がある状態を放置をしていたら、強風に煽られて亀裂が広がり、落下に至ったとのこと。住人のサイン入りの始末書はプライバシー保護のため、内容は公開はされなかったそう。一番の問題は、ベトナムにはオーナーで構成される管理組合という意志決定機関が備わっていないこと。このようなトラブル再発防止策が、購入者同士で真剣に話合われないこと。ここに尽きます。
 
マンションの分譲会社がその役を担うべきだと思いますが、問題が起きても販売側の論理が働くことは容易に想像できます。これは、サービスアパートにはない、コンドミニアムの大きなデメリットのひとつです。

 

 

田口 庸生 Taguchi Tsuneo

ハノイリビング

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