週末エンターテインメント No.17


僕がベトナムに来てからもう5年も経ったのか。新卒で勤めた横浜のIT企業をやめ、高校時代の友人を訪ねてベトナムに来たときは、まさかここに住み着くとは想像もしていなかった。そんな僕がベトナムに住み着いたわけは、陽気な気候と陽気な人々のせい、なんて説明しているけど、とにかく言葉にできないエネルギーに飲み込まれたわけだ。現在、ベトナムはパンデミックの出口を模索し始めたところだ。夜の街が大人しくなるなか、僕が魅せられたベトナムのエネルギーはどこにいくのだろうか。

歓迎すべき動きもあって、出張者というか出張名目の海外旅行者の相手をしなくてよくなったのは楽だ。打ち合わせに続き「今夜のご予定は…」とさらに時間を取られることがなくなった。僕はオンライン会議の信奉者ではないし、リアルのグルーヴ感は代替できないと思っているくちだ。そもそも、オンラインでできる会議は、チャットでできるし。それでも、早く帰宅できる日が増えたのはありがたい。

早寝早起きが習慣になって気づいたが、今、にわかに朝が加速している。朝6時をすぎると公園に人が溢れ、ジョギングやバトミントンに勤しんでいるのだ。以前にもまして人が増え、若者の姿も目立つ。トレンドは夜から朝に移ったということか。Netflixなんて見ている場合じゃない。この朝、おばさんのエアロビに飛び込め、筋トレ器具を待つマッチョに割り込め。僕の中に力がみなぎってくる感覚。これこそ僕が惚れたベトナムのエネルギーだ。

 

小森 悠矢
ホーチミン市最大級のテレビ制作会社MCV Corp勤務。
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