し長く滞在している方なら必ず、「彼が私の右腕だ」という存在のベトナムマネジャーがいると思います(もちろん私にもいます)。そんな人から裏切られたらどうします? 日本人は相手を一度信用したら、自分から裏切ることはあまりしませんが、それを逆にうまく利用されているのかも?

実際に日本人ダイレクターの方から、「信用してたのに、裏切られた…。ベトナム人って皆そうなの?」というお悩みを聞くことがあります。会社の売上げが落ちてきた、メンバー全体の覇気がない、退職者が増えてきた。それが実は右腕が元凶だったという、ホラーのようなケースもあるのです。先の方の場合も、会社をぼろぼろにして、最後は部下を連れて競合に転職したとのことです。

こういった「日本人ダイレクターたらし」は一定数いますが、見極めは意外に簡単で、今の自分のメンバーに唐突に聞いてみることです。「彼のマネジメントはどう?」、「働きやすい?」。あなたに本当に心を開いている人であればいい返事なら即答し、悪い場合はまず即答しません。「ええ…」、「ううん…」などと反応したらしっかり覚えておき、それが2名以上続いたらシグナルだと思ってください。そして、メンバーの反応に感謝してください。ポイントは面談などでなく、唐突に、突然に、聞くことです。

メンバーとの会話を繰り返していると、「自分たちの意見もフラットに聞いてくれる」という土壌の熟成にもなるので、より状況がクリアになります。右腕に対しても、自分の評価に加えて、自分には見せない姿を見ているだろうメンバーの評価を知ることで、よりよい距離での判断ができるでしょう。

加藤 将司
Kato Masashi
JACリクルートメントベトナムManaging Director。大学卒業後、大手人材紹介会社を経て、一貫してベトナム人材の紹介や採用&育成に関わり、今年で12年目。2013年6月より現職。
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