回は、とある日系のサービス業系企業の面白いマネジメント方法をご紹介します。

その会社は、面接時に122条ある会社のルールを全部説明(フェイスブックを使わない、英語以外の言語で会話をしないなど)した上で、9つあるクレド(企業信条)を全て音読させて感想を言わせ、入社したら徹底的にそれを遵守させるのです。もちろん、できなかった場合の罰則もあります。ここまでだと、まるでプチブラック企業なのですが、その後がステキでしっかりと飴が用意されており、何と成績優秀者には、そのルールを破ることができるというインセンティブが与えられるのです! 例えば、通常1時間のランチタイムを1時間半に延長できたり、遅刻ができたりといった具合に。

この絶妙なゲーム性で社員皆が盛り上がり、会社の業績も上々といいます。その会社の責任者が言うには、「思考は変えられないが行動は変えられる」。そして、「ルールで縛れば、会社で仕事以外のことをしなくなる。その結果として成果が出る。また、成果が出ることによって仕事が楽しくなってくると、逆にルールを破れるというインセンティブも使わなくなる」とのこと。若いメンバーが多いということもあると思いますが、面白く仕事が学べて成果も出せるということで、離職率も大幅に改善して、採用力も増したといいます。

今後はルールを破る権利を会社がインセンティブとして買い取るなど新しい仕組みも増やしていく予定だということです。ルールで厳格に縛りながら、その中でしっかりゲーム感覚で仕事してもらう。まずはルールを守らせる覚悟がなければ難しいでしょうが、ローコストで効果が出やすいマネジメントだと思いました。

加藤 将司
Kato Masashi
JACリクルートメントベトナムManaging Director。大学卒業後、大手人材紹介会社を経て、一貫してベトナム人材の紹介や採用&育成に関わり、今年で12年目。2013年6月より現職。
www.jac-recruitment.vn