たまには、ベトナム人メンバーに、「こちらの舞台」に上がってもらいましょう。四半期か毎月の「振り返り面談」です。サシよりもマネージャーを入れて3人で話すほうがベター。最初は信用されないと思いますので、「評価ではなく、仕事を振り返る時間を作るだけ」というスタンスを伝え続けてください。

とはいえ、いきなりのフリートークはハードルが高い。過去の仕事の話を、彼らの意思を入れて話せるような質問をすることです。例えば、「四半期を振り返って、自分として一番できた仕事は?」、「四半期の仕事は、自分として100点満点中の何点?」などです。ポイントは「自分として」と、問題の解決をしない点です。

会社・組織ではなく、個人の主観で考えるクセをつけることは、自分の仕事を振り返るきっかけになりますし、本人も話がしやすい。また、問題解決にダイレクトに向かわないので、安心感を伝えられます。

おそらく最初は、「一番できた仕事は全部!」、「100点満点中200点!」などの、無邪気でチャーミングな回答がくるかもしれません。それでいいのです。メンバーが付けた現時点での自己評価なのですから。

しっかりと話を聞き、「でも、それ以上の仕事をしなきゃ昔の自分に負けちゃうよ、何する?」、「では、300点を目指すには何が足りないと思う?」などと重ねていくことで、本当にその人のしたいことがうっすらとでも見えてきたら、こっちのものです。

いつも近寄りがたい日本人上司が親身になって考えてくれる。そのことで心理的な距離は縮まり、メンバーは年数回の、その時間を待ち遠しくなるでしょう。

加藤 将司
Kato Masashi
JACリクルートメントベトナムManaging Director。大学卒業後、大手人材紹介会社を経て、一貫してベトナム人材の紹介や採用&育成に関わり、今年で12年目。2013年6月より現職。
www.jac-recruitment.vn