「い

い感じ?」、「大きい、小さい?」、「キレイ、キタナイ?」…。このような意味の広い形容詞はなるべく使わないことにしているという、日本人の飲食店オーナーにお会いしました。理由を聞くと「一番誤解が生まれやすい言葉だから」。

その方は当初、味の調整などで「美味しい?」などと尋ねていましたが、当たり前のように周囲の言うことが違うため、どんどん混乱していったと。その後、ベトナム人の好きな味を大まかに理解してからは、「これは甘い、辛い?」、「濃い、薄い?」などと小さい範囲の形容詞に向かい、最後に「魚の味がする、しない?」などと具体的に聞いて、互いの理解が深まったそうです。これは、コミュニケーションでも同じだ! と思いました。

主観がたくさん入る形容詞を使うと、ギャップが増えて、意思の疎通が難しくなり、お互いイメージが悪くなる場合も。そしてお互いが会話をしたくなくなり、より意思疎通が困難になっていくなと。

私も「お客さんとの関係性はとてもいいです」と語るメンバーに同行したら、相手がとても冷たい感じだったことがあります。「関係性はいいんだよね?」と確認したら、「はい、私はこの会社の製品をいっぱい使ってますから」と言われて、むむむ?と思った経験があります。

日本語は、一つの単語に色んな意味を含めて相手に届けられる奥深い言語ですが、使う人のさじ加減では、きっとミスコミュニケーションが連発するんだなと。同じ日本人でもおじさんと若い人のコミュニケーションで似たところがあるように、形容詞の使い方は少し意識してみてもいいかもしれません。

加藤 将司
Kato Masashi
JACリクルートメントベトナムManaging Director。大学卒業後、大手人材紹介会社を経て、一貫してベトナム人材の紹介や採用&育成に関わり、今年で12年目。2013年6月より現職。
www.jac-recruitment.vn