ラップに熱中 モデルや司会者にも挑戦


撮影/大池直人

―― フランスとベトナムのハーフですよね。

エムリー はい。母親はベトナム人で、父親はカナダに住んでいるフランス人です。生まれたのはベトナムですが、数年後にはカナダに引越しして、18歳まで生活してきました。ラッパーになる夢を実現するために、ベトナムに戻ることにしました。

―― デビューのきっかけは?

エムリー ベトナムに戻って、芸能人の成功者であるゴー・タイン・ヴァン(Ngo Thanh Van)さんのタレントスクールに入学しました。ラップを中心に、司会や演技などの様々なスキルを学ぶタレント総合コースで、2年半勉強しました。卒業した後はソロで活動し、2013年10月に初めてのシングル、『愛されたことがない』(Chua bao gio em duoc yeu)を発表しました。

―― ベトナムではポップスやバラードが主流ですが、どうしてラッパーに?

エムリー 自分の個性に合うからです。中学生の頃から、家族と離れて独立しました。だから、考え方が他の同級生よりもずっと成熟して、自立心も強いのかもしれません。ラップをするときは、自分が自分らしくなるように思うんです。私が一番憧れて、影響を受けたのは、韓国バンドのビッグバン(BIGBANG)のリーダー、ジードラゴン(G-Dragon)ですよ。

―― エムリーさんも韓流のファンですか?

エムリー そんなことはないですね。よく聞いているのは洋楽で、好きな歌手もリアーナ(Rihanna)やイギー・アゼリア(Iggy Azalea)などです。洋楽は革新的で、いつも新しいトレンドを生み出す元だと思います。その一方、韓国音楽の魅力はメロディだけでなく、ダンスやファッションの組み合わせです。でも、ラップなら、やはりジードラゴンのスタイルが好きですね(笑)。

―― 身長が176cmですね。モデルもできるのでは?

エムリー 若者向け雑誌やベトナム語版『ELLE』の写真モデルとして出演したりしますが、プロフェッショナルなモデルになるのは今まで考えたことがないです。

明るい歌詞で積極的なライフスタイルを


―― ベトナムでは今、ラップはどのように受け取られていますか?

エムリー 洋楽や韓国音楽の影響で、ラップは昔より普及したと思います。とはいえ、ラップを教える学校はまだ少なく、ラッパーになりたい人たちは「自学自習」が多いです。また、ベトナムの文化では、自分の意見を強調する個性的な歌詞などは、なかなか受け入れられにくいです。

なので、私が書いた曲は大体、可愛い言葉遣いの恋についての歌詞に、単純なラップではなく、少しメロディやダンスも取り入れています。また、私のファンはほとんど若者なので、ポジティブなライフスタイルを奮い立たせるために、積極的で明るい歌詞にしています。

―― 今後の予定は?

エムリー 友達4人と協力し、初めての音楽をテーマにしたシチュエーションコメディ『トップのかなたに』(Beyond the Top)を作っていきます。8月から撮影を始め、9月からYouTubeに公開する予定です。

MLee/エム・リー

ラッパー、司会者、モデル。1992年生まれ。フランスとベトナムのハーフ。日本のファッションと寿司、餅が大好き。人気曲は『あなたが好き』(I Like You)など。YANTVチャンネルの海外音楽ランキング番組の司会者。