歌手を目指して進学 なぜか女優に


撮影/大池直人

―― ベトナムと韓国が連携して、初めて作ったドラマに主演しているそうですね。

フォン はい。『青春』(Tuổi Thanh Xuân)というドラマです。韓国が好き、K-POPが好きな、純粋な女の子が韓国に行って、トラブルに巻き込まれるうちに成長していく物語です。ベトナムと韓国で撮影しています。私は以前に、韓国のドラマに出演したこともあるんです。

―― ベトナムは韓流ブームですが、あなたも韓国が好き?

フォン はい。ハンサムな人が好みです。もちろん、日本人も好きですよ(笑)。このドラマのプロデューサーは以前に日本の会社と提携して、日越のドラマを作った人なんです。日越ドラマをまた計画しているようなので、絶対に出演したいと思っています。

―― ハンサムな人と結婚したい?

フォン 恋愛と愛情は別だと思っています。特に好みのタイプはないですが、お互いの生活をシェアしていきたいので、言葉の通じる人がいいですね。なので、付き合うならベトナム人かな。それから、女優という仕事を理解してくれる人。朝早く家を出て、夜遅く帰る毎日ですから、主婦業はできないですね。

―― なぜ女優になったのですか?

フォン 元々、歌手になりたかったんです。そこで、ホーチミン市映画演劇学校への進学を考えたのですが、私は田舎(バンメトート)の出身なので、大学の情報があまり得られませんでした。入学試験には歌、詩、演劇があったのですが、それを知らず、歌のトレーニングだけをしていました。そうしたら、試験で歌っているときに、「次は演技をして」って(笑)。

演劇のシチュエーションを考えてなかったので、先生の出したお題で、言われたとおりに演技しました。すると合格してしまって、それをきっかけに演劇学部に入ったんです。

―― 今でも歌手になりたい?

フォン チャンスがあれば挑戦したいですが、今は女優業が好きです。この仕事に情熱を感じていますから、一生続けていきたいです。

女優に充実感と興奮 悪い人になりたい?


―― 女優の面白さとは何でしょう?

フォン 役になり切って、演技が上手くいったら……言葉にできません。ものすごい充実感が全身に広がって、とても興奮するんです。幸せな気持ちになります。逆のときは悲しい気持ちになり、次はもっと上手く演技をしようとモチベーションが上がります。

もうひとつの面白さは、色々な人の人生を経験でき、様々な人の立場や暮らしを理解できるようになることです。女優でなかったら、自分の人生しか生きられません。

―― 今後はどんな仕事を?

フォン いくつかお話をいただいていて、選んでいる最中です。できれば、今までと全く違った役柄、例えば悪役を演じてみたいです。役には自分の生きている環境が影響すると思うので、「悪い人」のバックグラウンドの勉強もしてみたいですね。

―― 本当の悪い人になってしまうかもしれませんよ(笑)。

Nha Phuong/ニャー・フォン

女優。1990年生まれ。ホーチミン市映画演劇学校出身。映画「Vengeful Heart」(Quả Tim Máu)やドラマ「歩きながら涙がこぼれた」(Vừa đi vừa khóc)などに出演。