米国のベトナム映画祭主演女優賞を受賞



撮影/大池直人

―― アメリカで映画祭があったとか。

ゴック はい。ベトナム人を対象とした映画祭「Viet Film Fest 2014」に参加しました。主演映画の「こんにちは、トゥイ」(Xin chào Thúy)が出品されたからです。韓国映画で、監督、プロデューサー、スタッフやキャストも、私以外はほぼ全員が韓国人でした。

―― どんなストーリー?

ゴック 韓国の韓国人に嫁いだトゥイというベトナム人女性が、様々なつらい境遇に遭いながらも、必死に生きる姿を描いています。私は主人公のトゥイを演じました。現実の社会問題を下地にした映画で、撮影もベトナム人の花嫁が多く住む地域で行われました。

―― 映画祭の結果は?

ゴック 皆のおかげで、主演女優賞を受賞しました。

―― すごい! おめでとうございます。あなたはデビューした主演映画でも、数々の賞を受賞していますね。

ゴック はい。「果てしなき大地」(Cánh Đồng Bất Tận)です。妻に裏切られた夫が、娘と息子と一緒に船の上で水上生活を送るのですが、こちらも悲劇です(笑)。私は娘を演じましたが、かなり個性的な役柄だったと思います。

―― どのようにして映画の出演が決まったのですか?

ゴック ベトナムの映画は関係者の紹介で役が決まることが多いのですが、私もそうでした。ただ、すんなり決まったわけではなく、キャスティングの審査が5回あり、それを通過して最終的に選ばれたのです。

映画のヒットはとてもうれしかったです。ただ、あまりに評価が高かったので、その後2年ほどは芸能活動をしませんでした。

―― それはなぜでしょう?

ゴック 元々女優になりたくて、高校卒業後はホーチミン市映画演劇学校に通っていました。2年生の時に映画デビューしたので、学校に戻って勉強を終えたかったのです。また、女優を続けても次の成功ができるか不安な気持ちもありました。そのため、今後のことを落ち着いて考え、ゼロからスタートを切りたかったのです。

好きになる人が私の好きな人です


―― これまでどんな活動を?

ゴック 学校を卒業してから女優を再開し、映画は今まで5本に出演しました。2月には映画「くじに当たった」(Trúng số)が公開、4月からはテレビドラマの新番組が放送される予定です。出演本数が少ないのは、役柄を厳選しているからです。常に、もっといいものを作りたいと思っています。

―― 根っからの女優さんなんですね。

ゴック 映画監督には女優にプレッシャーをかけて演技力を引き出す人もいますが、私が出会った監督さんたちは、女優の創造力を自由に引き出すような人ばかりでした。4年間活動していますが、優秀な監督さんやスタッフばかりと出会って、様々なことを経験させてもらいました。

―― いつも皆さんに聞いているのですが、好きな男性のタイプは?

ゴック 男性のタイプはありません。自分の心の声を聴くだけです。好きになる人が好きな人です。

Lan Ngọc/ラン・ゴック

女優。1990年生まれ。デビューした主演映画でベトナム映画協会のゴールデンカイトアワードをはじめ、数多くの映画祭で最優秀主演女優賞などを受賞。一躍注目の女優となる。