文・撮影/杉田憲昭(GRAFICA)

トータルヘルスカンパニーとして
ベトナムの人々の健康に貢献

アイソトニック飲料「ポカリスエット」の輸入・販売を手がける「大塚タンニュートリション」。現地に根ざしたマーケティングを展開し、2014年秋の赴任時から約15倍もの売り上げ増を達成。同社社長の湯浅氏に、その秘訣を尋ねた。

健康志向の消費者に向け
価格改定で競争力を強化

――進出の経緯を教えてください

湯浅 「ポカリスエット」は現在、アジアを中心に世界19の国や地域で販売しています。ベトナムへの進出は2012年と比較的遅い方でしたが、マーケットの成長性が高いのは周知の事実です。

例えばアイソトニック飲料のカテゴリとしてベトナムの市場は未成熟で、競合する商品はまだ多くありません。コンビニエンスストアの商品棚も他国では様々な種類の商品が並ぶなか、ベトナムではポカリを3~5列も並べてもらえます。また、近年は経済の成長から生活が豊かになり、健康志向の方々が増えてきており、ポカリがベトナムの人々の健康に貢献できると考えました。

――商品を支える購買層は?

湯浅 大塚製薬の機能性飲料や健康食品は数多くありますが、弊社ではポカリスエットのみを取り扱っています。ターゲットは18歳以上が主ですが、特に健康意識の高いホワイトカラーのビジネスパーソンや主婦層、40歳代以上の方々にも親しんでいただいています。一方、大学生など若年層の比率はまだ高くなく、競合商品が1万VND前後で販売されているため、1万4000〜1万5000VNDのポカリスエットは日常的な購買に繋がっていないのが実状です。しかし全体では幅広い年代に受け入れられており、35歳を基準とすると、購買層はその上下で半々の割合となっています。

「ポカリスエットラン」は湯浅氏自身がコース設計から実際にコースを走りサイトチェックを行うなど、徹底的なランナー目線で満足度の高いイベントを作りあげている

――売り上げの傾向や発売当初と現在の消費者の反応の違いは?

湯浅 発売当初から現在まで、味や品質に対しては常に高い評価をいただいています。保存料や着色料の不使用に加え、、炭酸入り商品が多いなか、炭酸が入っていない点も飲みやすいと言われています。日本の製薬会社が医薬品のノウハウを使い製造しているという信頼性もアドバンテージとなっています。

赴任当初は現在よりも更に価格が高く、1万7000〜1万8000VNDで販売していました。どれほど良い商品でも競合と比較し当時で約2・5倍の価格ではなかなか買ってもらえない。そこで2015年に価格を25%下げ、利益よりもまずはたくさんの人に飲んでもらうことに集中しました。その後、様々なトライ&エラーを繰り返し、現在は赴任時の約15倍の売り上げ増を達成しましたが、まだまだ売り上げ規模は大きくないというのが実際のところです。

ベトナムで販売されている500㎖入りボトル

体感型サンプリングと
独自の販売ルートで差別化

――注力している戦略は?

湯浅 重要視しているのはサンプリングです。飲んで、体感し、商品を知っていただく。そのため販売店様やフィットネスジム、市場、病院などにブースを設け、試飲していただいています。多い時は毎日100ヶ所ほど開催することもあり、ポカリが必要な場所とタイミングで飲んでいただくほどにユーザーが増えると信じ、地道な草の根活動を行っています。

販売ルートも年々変化しています。スーパーやコンビニで多く販売いただいているのと同様に、街の調剤薬局でも多く販売いただいています。

ベトナムでは体調を崩した際、病院へ通うのではなく薬局で薬を処方してもらうことが多く、薬剤師への信頼も厚い。そこで風邪や腹痛などの時にポカリスエットを推奨してもらうようお願いしています。信頼する薬剤師さんからの推奨だと、競合品より価格が高くても買って頂けますし、薬剤師さんからもいい製品だから推奨したいと言ってもらえます。調剤薬局発信でポカリを皆さんに知ってもらえるのは弊社の大きな強みです。

――「ポカリスエットラン」開催の経緯は?

湯浅 健康意識の高まりにつれ、近年は公園などで多くの人々がウォーキングやランニングを楽しむようになりました。ポカリをもっと多くの人に体感してもらおうと2019年11月、ホーチミン市で「ポカリスエットラン」を初開催、約3500人の方々に参加いただきました。企画から運営まで全て手作りで行い、日本品質・ランナーファーストをコンセプトとしています。翌2020年11月の第2回はコロナ禍にもかかわらず参加者は約7000人に上りました。

2021年も11月に開催を予定しており、1万人の参加が目標です。同様のイベントは他国でも行っていますので、将来的には他国と繋げたアジアシリーズなども開催できればと思っています。

――今後の目標を教えてください

患者へ推奨してもらうため、病院の医師や看護師に商品説明を行う

湯浅 まずはポカリスエットをベトナムのトップブランドにすること。また、現在インドネシアから輸入している製品を当地で製造するための工場の建設、「オロナミンC」など他の製品の販売も目指しています。

最終的に目指すことは「人々の健康に貢献する」こと。これからも、ベトナム全土の皆さまに、ポカリスエットやイベントを通じて健康をお届けできればと思っています。

 

COMPANY INFO
東京都千代田区に本社を置く大塚製薬株式会社のグループ企業として、2012年に設立された健康食品販売会社。ホーチミン市とハノイに拠点を構え、アイソトニック飲料「ポカリスエット」の輸入・販売、「ポカリスエットラン」のイベント運営・開催を行う。
Managing Director 社長 湯浅 真嗣
MASATSUGU YUASA
1978年岩手県生まれ。幼少期からサッカーに親しみ、「ポカリスエット」を通じて馴染みの深かった大塚製薬へ2004年入社。営業部で活躍後、海外事業部への異動を経て2014年8月にベトナムへ赴任。2018年より社長として社員約200人を取りまとめる。