SSI証券のベト株探訪記 No.043

コロナ禍で7%減
年初来は18.7%増

5ヶ月連続で上昇した後、7月のベトナム株式市場は大きく後退した。2021年7月2日に史上最高値の1420ポイントに達した後、VNインデックスは下方修正を開始。7月19日には短期的に1243.5ポイントの底に達した後、上昇して月を1310.5ポイントで締めくくった。7月は7%減少したが、それでも年初来18.7%の増加を達成した。
 
新型コロナ感染症の拡大で、厳格な社会的隔離政策が実施され、投資家の一部は利益確定か、証拠金基準を下げるために売却したと考えられる。
 
VN30インデックス(ホーチミン市証券取引所の主要30銘柄)、中型株VNMidCap、小型株VNSmallCapは、7月にそれぞれ5.3%、5.6%、4.7%の減少を記録。年初来の株価指数は35.2%、25.6%、23.3%増加した。
 
2021年第2四半期、ホーチミン市証券取引所(HOSE)の時価総額全体の97%を占める企業で、収益が前年比39%増、NPATMI(少数株主損益控除後税引き後純利益)は同55%増。
 
利益成長率が最も高いセクターは、マテリアル(前年比370%増)、通信(同310%増)、不動産(同130%増)、金融サービス(同108%増)。一方、自動車(同21%減)、保険(同16.5%減)などはマイナスとなった。

投資家は不動産・
小売業などにシフト

7月は金融部門の業績が最も悪かった。また、ビングループ(VIC)、ビンホームズ(VHM)、鉄鋼会社ホアファットグループ(HPG)などの大型株も強い売り圧力にさらされた。対照的に、コロナ禍で投資家がより防御的な銘柄を求めたため、マサングループ(MSN)は22%、テーゾイジードン(MWG)は8%、FPT情報通信(FPT)は7%増と良好だった。
 
3つの証券取引所での1日売買代金は前月比18.9%減の9億6600万USDに縮小したが、前年比で404%増加した。市場が下方修正に入った際、投資家は慎重になり、キャッシュフローは銀行株から出され、不動産、ロジスティクス、小売業で新しい投資機会を模索。2021年初7ヶ月の1日平均売買代金は、前年比382%増の9億USDとなった。

ファン・リュ・フォン Pham Luu Hung
分析及び投資コンサルセンターのマネジャー。シドニー大学で修士、ハノイ貿易大学で学士号を取得。2007年より現職。
Saigon Securities Inc.
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