A:認められていますが、電子認証機関と契約する必要があります

署名してPDF化した書類は
法的な“電子契約書”ではない

ベトナムでは、日本と同様、法律で書面作成が義務付けられている場合(例えば雇用契約は書面作成が義務付けられているものの1つ)を除き、契約は書面でも口頭でも有効に成立し、形式は問われません。

例えば、パソコンで作成した契約書を印刷し、それに署名押印したものをスキャナでPDFにして相手方にメールで送る方法でも、当事者が合意していれば、契約は有効に成立します。

このような契約書も電子的に作成された契約書ではありますが、法的には電子署名を使った電子契約書には該当しません。このような方法だと、法律で書面作成が義務付けられている場合、「書面は存在しない」とみなされる可能性がありますし、契約の有効性をめぐって争いになった場合、書面としての証明力は低いということになります。

電子署名は
認可機関からの発行が必要

電子署名や電子契約書に法的に紙の書面と同じ効力を持たせるには、事前に政府の認可を受けた電子認証機関と契約して、電子署名や電子証明書の発行を受ける必要があります。今後は、電子インボイス発行で使われている電子署名(トークン)を利用し、まずは事業者間のより多くの取引における電子契約書の利用が期待されます。

矢根 俊治Yane Toshiharu
かがやきTNYリーガル代表。日本国弁護士・ベトナム外国弁護士。主な専門は、知的財産、労働・人事労務、企業法務・ベトナム新規進出支援、ODA・政府及び公的機関の調査など。

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