バマ米大統領の訪越中、ベトナム株式市場は急落し、VNインデックスは600近くに戻ってしまった。ベトナム国民は熱狂的に歓迎したものの、オバマ氏の訪越中の活動は主に外交・社会関連で、市場を支えるはっきりとした経済の見通しが立たなかったためだろう。

ところが、5月末に銀行株と石油関連株が大幅に急上昇した。原油価格は1バレル50USD台を越えて、石油関連株の時価総額が11.8%増となり、市場全体で最も伸び率が高いグループとなったため、VNインデックスを支えて今年最高値の633(+3%)に引き上げた。また、市場の上昇において、海外投資家の購買力は相変わらず重要な役割を果たしており、特に石油関連株の買い越し額は前月比51%増の2000万USDに急増した。

ベトナム政府は、2016年のGDP成長率を6.7%とする目標を定めた。しかし、世界銀行(WB)と経済協力開発機構(OECD)は、それよりはるかに低い6.2%と6.3%を予測している。2016年前半の成長率は約6~6.2%と予想されるので、政府の目標率達成は、現段階では難しいのではないか。

政府は直ちに経済を促進するための政策、主に金融緩和政策を2つの方法を通して実施させた。不動産信用のリスク指標をまだ増加させないことと、外貨建貸付条件を緩和することだ。2016年初5ヶ月間で貸出の伸び率は5.5%、そのうち、外貨建ての貸出の伸び率は6%減となった。2015年通年の貸出伸び率の17%、2016年目標の18~20%と比較してずっと低いと考えられる。このような金融緩和政策が功を奏して、2016年下半期に貸出伸び率がより高くなり、経済活動の加速に貢献することを期待する。

グエン・ドゥック・フン・リン
Nguyen Duc Hung Linh
Saigon Securities Inc.の個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。シンガポールで市場分析家や法律専門家として勤務後、2011年より現職。
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