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月のVNインデックスは予想通り下落した。その要因は大きく2つ考えられる。1つは、3月半ば以降、原油価格が10%近く下落したため、石油業界の株価も同じ比率で下落したことだ。2つめは、株式市場で圧倒的な割合を占める銀行業と食品製造業の情報が乏しく、慎重な姿勢を取っている投資家の利食い売り圧力が強まったことだ。

国会開催中は市場が低迷する傾向があるが、3月末の第11回国会では、財政赤字や公的債務などベトナム経済の様々なリスクが指摘された。また、メコンデルタにおける深刻な干ばつにより、農業の第1四半期の成長率は-1.23%で、過去の同時期の+2%以上と比べて激減した。

この数週間、外国人投資家が銀行業、金融業と不動産業を中心に買い越し続けた積極的な面がありつつも、2010~2015年に反して、今年第1四半期の海外からの資金流入は売り越しに転じた。この予測不能な変動は第2四半期にまで続き、VNインデックス上昇の波に乗るのは難しいと思われる。

今年注目されたのは通常は6月に開かれ、国の最高指導者を選出するベトナム国会が、前倒しで4月になったことだ。政権移譲により、経済運営の効率が落ち、2016年の経済成長に影響すると懸念している識者もいるが、国会の前倒しのおかげで、新内閣が経済景気を転換する時間が2四半期から3四半期に延ばされた。また、新指導者は経済において深い知識と経験を持っており、様々な改革が期待されている。

総じて、長期的には新指導部の改革とTPPをはじめ、各自由貿易協定の発効に期待できると見込まれる。その中、投資と貿易の回復から恩恵を受けそうな建築建材、インフラ、運輸・港湾系は好まれるだろう。

グエン・ドゥック・フン・リン
Nguyen Duc Hung Linh
Saigon Securities Inc.の個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。シンガポールで市場分析家や法律専門家として勤務後、2011年より現職。
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