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Y ベトナムの小野瀬です。第20 回の対談は、移転価格担当パートナーのPhat さんです。

小野瀬 今年の5 月1 日より、移転価格税制に関する新しい基準であるDecree20 が適用されていますが、旧基準であるCircular66 からの変更点を教えてください。

Phat 新・旧いずれの規定においても、移転価格文書(ローカルファイル)という、関連者との取引価格が独立企業間価格であると証明する書類の作成が必要になります。ただし、今まではローカルファイルの作成期限は明記されていなかったのですが、Decree20 によると、法人税申告書の提出期限(期末日後90 日)までに作成する必要があります。また、以前は税務当局から提出の要請後、30 営業日以内の提出が要求されていましたが、Decree20 では15 営業日に短縮されています。

小野瀬 作成期限、提出期限ともにタイトですね。また、ローカルファイルに加え、新たに国別報告書とマスターファイルを作成する必要があり、今まで以上に早期に対応する必要がありそうですね。

Phat その通りです。国別報告書は各国の子会社の税金支払状況等を記載した書類で、マスターファイルは企業グループの概要等を記載した書類です。国別報告書については、親会社で作成義務がなければベトナムでも作成の必要はありませんが、マスターファイルは親会社での作成義務にかかわらずベトナムで作成する必要があります。

マスターファイルは企業グループ全体に関係する内容を記載するため、親会社と協力して作成する必要があり、親会社側での準備状況を確認するとともに、早期に対応することが重要となります。

小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com