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Yベトナムの小野瀬です。第4回の対談は、移転価格担当のPhatさんです。
小野瀬 移転価格税制というと難しいイメージがあります。具体的に何をしたら良いかわからない企業も多いです。
Phat 簡単に言いますと、日本とベトナムのどちら側で税金を納めるのが妥当か、親子会社間等の売買価格(移転価格)の設定をどうするか、といった問題です。ベトナム政府はベトナムで公正に税金を納めてもらいたいですし、日本の税務署も然りです。具体的には、年度の法人税申告の際に移転価格フォームと呼ばれる書類を、税務調査の際には移転価格文書を提出する義務があります。
小野瀬 これらの書類は法律的には義務化されていますが、まだ未作成の企業もありますね。最近では、移転価格の調査チームが結成されました。
Phat 2015年9月にハノイ、ホーチミン市、ビンズン省、ドンナイ省の主要な都市や省で移転価格調査部が結成され、今後の移転価格税制の調査に対応すると発表されました。これからは移転価格に関する税務調査は増える見込みです。
小野瀬 移転価格文書を作成していない場合は、税務当局が妥当だと思われる利益水準を算定し、推定課税という形で課税されます。
Phat その場合は、当局の言いなりの金額になってしまいますからリスクが非常に高いです。また、一般的にリスクが高いと言われているのは、連続して業績が赤字の企業、特に、複雑ではない事業を行っている企業、親会社の指示により生産を行っている輸出加工業や関連者間取引が多い企業になります。対象は大手企業に限られていませんので、注意してください。

小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com