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Yベトナムの小野瀬です。第16回の対談は、前回に引き続き監査担当シニアマネジャーのDoanhさんです。

小野瀬 日本では少額の減価償却資産については購入時で費用処理もしくは3年間で均等償却し、一定額以上の減価償却資産は固定資産として計上されます。ベトナムでは、どのような取扱いをするのでしょうか。

Doanh ベトナムでは固定資産に関する通達Circular45において、取得価額が3000万VND以上の資産で、1年以上使用するものについては、固定資産に計上するものと規定されています。一方で、3000万VND未満の資産については前払費用に計上した上で、Circular78に基づき3年以内で償却します。

小野瀬 少額の固定資産については日本と似たような取扱いがあるのですね。ちなみに固定資産について、ベトナム特有の論点はありますか。

Doanh ベトナムでは税法上、日本のように耐用年数が種類ごとに一律に決まっているわけではなく、Circular45の別表1において種類ごとに最短年数と最長年数が定められており、耐用年数にある程度の幅が設けられています。

例えば、車両は最短年数が6年、最長年数が10年、パソコンは最短年数が3年、最長年数が8年と定められています。会社が当該年数以外の耐用年数を採用したい場合には、算定の基準を添付して、財務省に申請する必要があります。さらに、ベトナム会計基準では、固定資産の減損会計がありません。そのため、日本の親会社が日本の会計基準に従って連結財務諸表を作成する場合には、ベトナムの連結子会社の固定資産の減損処理の要否について、別途検討が必要となります。

小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com