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Yベトナムの小野瀬です。前回に引き続いて、税務及びライセンス担当のThinhさんです。

小野瀬 最近は駐在員事務所を閉鎖して、現地法人を設立する動きが増えています。

Thinh 駐在員事務所の業務は、本社への情報提供や投資促進活動など限定的であり、営業活動はできません。業務実施範囲に制約があるので、経営の自由度を高めたり、営業活動のために、現地法人を設立する動きが活発化しています。

小野瀬 現地法人への移行で留意すべき点はありますか。

Thinh 現地法人を設立する場合、必ずしも駐在員事務所を閉鎖する必要はありません。駐在員事務所と現地法人の並立は可能です。ただ、駐在員事務所長と現地方法人社長の兼務はできませんので、注意が必要です。これ以外のスタッフ等の兼務は問題ありませんが、外国人が兼務する場合は、それぞれ労働許可証を取得する必要があります。
また、駐在員事務所を閉鎖する場合は、主に個人所得税に関する税務調査が入ります。税務当局にとっては、駐在員事務所に課税を行う最後の機会ですので、厳しい税務調査が一般的です。

小野瀬 現地法人の設立にはどのような費用がかかりますか。

Thinh 主に、ライセンスの取得、毎年の会計監査費用、関連会社との取引が存在する場合は移転価格文書の作成、チーフアカウンタントの雇用および適切な税務申告のための費用が考えられます。しかしながら、法人化で経営の自由度や選択の幅が広がります。特にライセンスの取得にはある程度の時間がかかりますので、将来の事業の方向性を考えた上での意思決定をお勧めします。

小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com