EY大手会計事務所のベトナム事情 No.028

把握しておくべき内容と特徴

小野瀬 EYベトナムの小野瀬です。第28回の対談は、日系企業担当の若杉俊哉ディレクターです。本日は外国契約者税について、その内容と特徴を教えて下さい。

若杉 外国契約者税とは、外国法人等が内国法人等と契約を交わし、ベトナム国内でサービスの提供を行った結果として得られる所得に対して課せられる税金です。特徴としては、通常はサービスの提供を受けた内国法人等が税金額を源泉徴収して、外国法人等に代わって税務当局に申告納税する事と、サービスの内容によって税率が細かく規定されている点が挙げられます。

外国契約者税の負担関係について

小野瀬 この外国契約者税は理論的には外国法人等が負担すべきですが、内国法人等とどちらが税金を負担するかについて、その負担関係を契約書に明記する事が大事ですよね。

若杉 仰る通りです。外国契約者税は、法人税と付加価値税の規定に分かれて規定されています。例えば、日本の親会社(外国法人)が契約を締結し、ベトナムの子会社(内国法人)にサービスを提供するケースを考えてみます。まず法人税部分ですが、親会社に負担させる事により、日本側で外国税額控除を適用できる可能性があります。付加価値税部分については、どちらが負担していてもベトナム側で仕入税額控除の対象として取り扱う事ができます。また、負担関係によってグロスアップ計算等の税額計算プロセスが変わってくるので、トータルの納付金額も変わるケースがあります。

加えて、契約書上に負担関係を明記しておかないと、税務調査で支払い漏れ等の指摘をされた場合、契約後に負担関係を巡ってトラブルになる可能性もあります。
小野瀬 日本では馴染みが薄い税金なので、日頃から外国契約者税の存在を念頭におき、専門家のアドバイスを得ながら税金の納付や契約書の作成をする事が肝要ですね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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