EY大手会計事務所のベトナム事情 No.031

損金不算入となる費用が問題に

EYベトナムの小野瀬です。第31回の対談は、日系企業担当の原田潤一ディレクターです。

小野瀬 COVID-19の影響で、工場を一時的に操業停止にした会社が多く見受けられますが、その工場建屋や製造設備の減価償却費が、損金として認められないというケースがあると聞きました。

原田 はい。一部の企業では、COVID-19の影響を受けて一時的に操業を停止しています。その期間の工場建屋や製造設備の減価償却費の損金性が問題となっています。

小野瀬 ただでさえ、業績が悪化したところに、更に減価償却費が損金に算入できないとは本当に厳しいですね。

減価償却費が損金算入できる2つのケース

原田 工場の一時休止を行った場合に、工場建屋や製造設備の減価償却費を損金算入できるのは、以下の2つのケースのみとされています。

◇通達78 第6条2・2項①9ヶ月未満の季節的要因による生産停止の場合、②12ヶ月未満の修繕及び定期保守点検の場合

ただし、税務当局からの要請があった場合は、工場の一時休止についての理由を説明する事が求められますので、関連する文書を準備しておく必要があります。

小野瀬 2つともある程度予測可能なケースですね。そうなると、今回のCOVID-19のような予測不能な理由では、損金算入が認められない事になってしまいますか?

原田 はい。実際に、今回のCOVID-19の影響を理由として工場を一時休止した場合、その建屋や製造設備の減価償却費については、上述の2つのケースに該当しないため、損金算入を認めないという内容のオフィシャルレターが出されています。

小野瀬 そうなんですね。後の税務調査で指摘される可能性もあるので、注意が必要ですね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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