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Yベトナムの小野瀬です。第21回の対談は、前回に引き続き移転価格担当パートナーのPhatさんです。

小野瀬 前回の対談で、ローカルファイルの作成・提出期限がタイトとなったとありました。一方で、一定の会社は作成義務が免除されると、Decree20で定められたと聞きました。どういった場合に作成が免除されるのでしょうか。

Phat 売上規模が小さい、もしくは売上規模が中程度かつ一定の利益率を確保している会社の場合には、ローカルファイルおよびマスターファイルの作成が免除されます。具体的には以下の場合です。

①売上高が500億VND(約2.5億円)以下、かつ関連者との取引が300億VND(約1.5億円)以下の場合。②事業内容が単純で売上高が2000億VND(約10億円)以下、かつEBIT(支払金利前税引前利益)に対する売上高の割合が、業種ごとに定められた一定の割合以上の場合。

小野瀬 上記の条件を満たすビジネスをされている会社様には朗報ですね。免除を適用するに当たり、注意すべき点等はありますか。

Phat 免除要件を満たすかどうかを、期中よりきちんとウォッチすることです。免除要件を満たすと予測していても、売上高が想定より増加または利益率が想定より低下し、年度終了後に免除要件を満たさないと発覚する場合もあります。ローカルファイルおよびマスターファイルの作成期限は年度末より90日以内なので、この場合は緊急でこれらの文書を作成する必要が出てきます。

免除要件を満たさない可能性を期中より検討し、早めの対応を図ることです。また、事業内容が「単純」かどうかについては、法令に照らして慎重に判断する必要があります。

小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com