去8年間の最高値に達した後、VNインデックスは利益確定売りの圧力により下落した。毎年8月頃はベトナム証券市場における情報不足の時期だとされている。今年はチュオンタイン木材加工(TTF)の虚偽財務報告が明らかになり、投資家は懸念を表明した。TTFは在庫データと売掛金勘定の不正記載により1兆VNDの損失を被った。この事件はTTFの株式の49%を有する大株主であるビングループ(VIC)に影響を与えた。VICは大型株の1つで、VIC株の下落は市場全体に影響し、VNインデックスは最高値から7%下落した後、支持線の620~630ポイントに落ちた。その後は、同じく大型株のビナミルク(VNM)やベトコムバンク(VCB)のおかげで、市場は早い回復を遂げた。VNMは外国人持株制限を100%まで引き上げた後、海外投資家の買い越し額が年初以来最高値を達し、VNMをはじめ、市場全体に好感を与えた。

統計データによると、上場企業の2016年第2四半期の業績は、前年同期比でわずかに1.6%上昇した。原油価格の下落と為替の変動により大きな影響を受けた電力・水道・ガス・燃料業の利益成長率は40.5%、石油業は65.3%のマイナス成長に陥った。一方、市場の需要拡大とアンチ・ダンピング政策から恩恵を受けた基礎資源業界は66.6%と高い成長率を示した。マクロ経済の面では、7月の統計資料から見ると、輸出の成長率、鉱工業生産指数、小売売上高がすべて前月比を下回り、明るい兆候は見られない状況だ。しかし、FDIによるベトナムへの資金流入は堅調な成長を見せ、2015年初7ヶ月の8.8%増に対し、2016年初7ヶ月のFDI実行額は前年同期比15.5%増の85.5億USDとなり、明るい要素が見られる。

グエン・ドゥック・フン・リン
Nguyen Duc Hung Linh
Saigon Securities Inc.の個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。シンガポールで市場分析家や法律専門家として勤務後、2011年より現職。
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