越の国の法律相談 No.014

ベトナムでは19年1月14日から発効

「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(TPP11=CPTPP)」は、日本・ベトナムを含む11ヶ国が署名し、署名国の過半数の批准により、2018年12月30日に発効しました。ベトナムでは、同年11月12日に国会が全会一致で批准し、2019年1月14日から発効しています。

CPTPPは、加盟国に対して、それぞれの国内制度を整備する義務を課しています。ベトナムでも、国会および政府がそれぞれCPTPP関連法令整備計画を作成して、作業に着手しており、その主な内容は以下の通りです。

ベトナム法制度への影響は?

①2018年秋の国会で汚職防止法が改正され、民間企業役職員の収賄行為などの汚職防止に関する規定が追加されました。

②2019年5―6月の国会には、労働法改正法案が提出されます。現在ベトナムでは、労働総同盟に属する労働組合のみ設立できますが、改正法案では、労働総同盟に属しない「業団」と呼ばれる労働代表組織も設立でき、労働組合と同様の機能を果たすものとされています。また政府は、労働者の結社の自由に関するILO87号条約への加盟を準備しています。

③知的財産法・保険事業法の改正法案が公表され、パブリックコメントが実施されています。改正内容は多岐にわたり、知財分野では、地理的表示の保護要件の明確化、並行輸入の許容など商標権の消尽論の導入などがあります。

④このほか、食品安全、原産地規則、優遇輸出入税、入札制度、輸入化粧品の国内販売などの各分野でも、法令整備が進められています。

CPTPPは世界のGDPの13%を占める巨大な自由貿易圏でありベトナムの輸出産業に大きな恩恵がもたらされると期待されていますが、国内制度整備によるベトナム社会・経済への影響も注目されています。

 

小幡 葉子 Obata Yoko
日本国及びベトナム外国弁護士。JICAベトナム法整備支援
長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
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