越の国の法律相談 No.037

国家エネルギー
マスタープランの策定

今回は最近よく耳にするベトナムの再生可能エネルギーの取り組みを紹介したいと思います。
 
ベトナムも2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みであるパリ協定に署名しており、パリ協定の実施計画を定める首相決定第2053/QD-TTG号が発布されています。その中に、太陽光及び風力発電の開発を促進するための政策を策定することと、2030年までの再生可能エネルギー開発のための行動計画及び2050年までのビジョンを作成することが規定されています。これを受けて、ベトナム政府は国家エネルギーマスタープランを策定しており、2020年2月には「2030年までの国家エネルギー開発戦略及び2045年までのビジョン」(55号決議)が決議されました。
 
特に注目すべきは、再生可能エネルギーの開発を奨励している点であり、再生可能エネルギー分野への投資を促進するため、優遇税制も導入されています。既に、初期投資を比較的抑えられる太陽光発電の開発が進んでおり(開発案件が増えすぎて調整もされているようです)、大規模投資が必要となる風力発電プロジェクトも承認されています。

さらに加速する
エネルギーシフト

55号決議では、再生可能エネルギーによる供給量の1次エネルギー供給量全体に占める割合が、2030年までに約15〜20%、2045年までに25〜30%に達する目標を定めました。さらに、商工省は、2021年から2030年までの国家電力開発計画及び2045年までのビジョンを定める第8次国家電力開発計画案を作成し、2020年12月に政府に提示しています。第8次国家電力開発計画案では、火力発電から再生可能エネルギーへのシフトの方向性が鮮明になり、再生可能エネルギーによる供給量の1次エネルギー供給量全体に占める割合について、2045年までに40%を超える数値を目標としています。(※1)
 
ベトナムでは、今後ますます再生可能エネルギーの開発が積極的に行われ、投資も増えていくことが期待されています。

※1「ベトナムエネルギー協会サイト」を参照

 

小林 亮 Kobayashi Ryo

日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスで多数の東南アジア案件を担当後、2014年4月より現職。1年のアメリカ留学を経て、2019年9月に復帰。

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