政府が定める
石油製品の小売価格の上限

近時の国際情勢により原油価格が高騰していますが、ベトナムでは、どのような政策が実施されているのでしょうか。

石油製品の国内価格は、小売価格の上限設定と価格安定基金などにより、国家管理されています。
その「基準価格」は、[輸入価格×輸入比率]+[国内価格×国内生産比率]により算定され、2022年1月からは毎月1日、11日、21日に、商工省により決定・公表されます。この「基準価格」から「価格安定基金」によって補填されるコストを引いた額が、政府の定める小売価格の上限となります。

価格の管理・安定を図る
価格安定基金とは

「価格安定基金」は、公的資金を使わず、個々の「主要事業者」が運営する、国内石油製品の価格の管理と安定を図るシステムです。「主要事業者」は、精油業者から直接買い付ける販売業者、自社流通網に供給するか他の販売業者に売却する輸入業者、輸出業者、製造業者などを指します。

各「主要事業者」は、商工省の「石油製品価格管理通知」によって定められた製品1ℓまたは1kgあたりの金額を専用の口座に拠出、または引き出して価格安定のために使用します。

また、「主要事業者」は、自社のウェブサイトまたはマスメディアを通じて、拠出額・使用額・利息・残高など、自社の価格安定基金の状況を公表することが義務付けられています。

 

小幡 葉子Obata Yoko

日本国及びベトナム外国弁護士。JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。

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