越の国の法律相談 No.039

迷惑「スパム」の
定義とは

クッキー(cookie)や携帯契約者の固有ID等を利用したターゲティング広告の手法が発達し、身に覚えのない広告メッセージや広告の電話を受け取った経験はお持ちだろうと思います。

スパムメッセージ・メールについては、従前より規制がありましたが、2020年に改正されて規制が強化されました。

これまで「スパムメッセージ・メール」の定義は、「受領者が希望せず、また法令に従い受領する義務がないメッセージまたはメール」でした。

新たな規制では、メッセージ・メールのみならず、電話も対象に含まれます(メッセージ・メール・電話を合わせて「メッセージ等」といいます)。

そして、スパムメッセージ等とは、◇受領者の事前の同意なしに送信された広告メッセージ等、◇法令上の規制(広告であることの表示、受領拒否機能の搭載等)に違反するメッセージ等、◇電子取引法等の諸法令により禁止される事項(扇動的な内容等)に違反するメッセージ等と定義し、対象を拡張しました。

規制強化

まず、電子通信サービスを提供する企業は、スパムメッセージ等に対抗するための技術システムの構築・運用を義務付けられます。

新設されたホットライン(番号:5656)では、フォーマットに従い、スパムメッセージ等の内容を報告できます。

広告メッセージ等を一切受領しないも構築され、希望者は、自身が保有する電話番号を当局が管理するこのリストに登録できるものとしました。

スパムメッセージ等に関する規定違反は、最大8000万VNDの行政罰が2億VNDまで引き上げられました。さらに、1~3ヶ月間のサービス提供の停止を命ぜられる可能性がある等、スパムメッセージ等に関する規制が強化されました。

留意事項

このような規制強化により、スパムメッセージ等が減少することがさらに期待されています。

他方で、情報発信する会社としては、当該情報発信がスパムメッセージ等とみなされないよう、関連法令の遵守に留意して情報発信する必要があります。

 

小林 亮 Kobayashi Ryo

日本国/NY州弁護士・ベトナム外国弁護士。東京オフィスで多数の東南アジア案件を担当後、2014年4月よりホーチミンオフィス駐在。1年のアメリカ留学を経て、2019年9月に復帰。

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