【ベトナム株】コロナ危機による世界的な変動
SSI証券のベト株探訪記 No.026
国債の利回りかつてないほどの低下
ベトナムと世界の金融・証券市場は、歴史の中で最も極端な変動を経験しました。新型コロナウイルスの大流行は、地球全体を驚異的な速さで襲った嵐のようなもので、感染者数と死亡者数は、1ヶ月以内に数十倍に増加。感染者は米国が世界最多となっています。
これは、世界に不況の影が差していると考えられます。PMI(購買担当者指数)は、ほとんどの国で50を下回り、国債の利回りはかつてないほどの低さまで低下しています。米国債は3ヶ月間の利回りがマイナスになり、世界的な証券市場は売りの波に直面し、恐怖指数(VIX―CBOE)は82に上昇。2008年の金融危機の時よりも高くなっています。
米国ドル高世界経済に影響
キャッシュフローは、流動性を見つけるために、金、JPYなどの安全な資産を含むすべての資産から流出。世界の通貨としての米ドルは魅力的な目的地となっています。米ドル指数は月初から継続的に上昇し、3月20日に102・8のピークに到達。EPFR Globalによると、3月25日までの4週間で、株式投資ファンドから748億ドルが引き落とされ、債券投資ファンドも2565億ドルが引き落とされる結果となりました。対照的に、マネー・ファンド(流動性がある安全資産の一種)は5285億米ドルを受け取っています。
ベトナムでは、新型コロナウイルスの流行が中国と東アジア諸国のみの問題であった1月30日の時点から海外投資家は売り越しを始めています。3月に入り、海外投資家の購入は減り、売りを急激に増やしたため、3月の売り越し総額は8兆8330億VNDとなり、2月の2・8倍になりました。これは1ヶ月の間に過去最高の売越額となり、年初からの海外投資家の売越額は10兆70億VNDに達しています。売り越しは板寄せ方式とザラバ方式で行われ、株価に直接圧力をかけたことも特徴的でした。
個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。2011年より現職。
Saigon Securities Inc.
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