越の国の法律相談 No.028

日本でのベトナム人技能実習生の状況

厚生労働省の発表によると、2019年10月末時点で、日本には約40万人のベトナム人労働者が在留しており、そのうち、技能実習生がほぼ半分(約19万人)を占めています。
 
今回の日本における新型コロナウイルス感染拡大により、実習先の経営悪化による技能実習生の解雇・雇止めなどが増加し、また、日本語がよくわからず法律知識がないため、合意退職を強要される悪質なケースも発生しています。

異業種への転職が可能となることも 

解雇などで実習先を失った場合、引き続き日本で就労するためには、従前は同業種間でしか転職できませんでしたが、特例措置によって2020年4月20日から、特定技能14業種(介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)に限り、異業種への転職も認められるようになり、新しい実習先が決まれば、在留資格「特定活動(6ヶ月・就労可)」への変更が可能となりました。 
 
また、新しい実習先が見つからないものの、本人が新しい特定技能の習得を希望しているときは、在留資格「特定活動(就労可)(最大1年)」への在留資格変更が認められています。

労働者としての権利保護のために

技能実習生は、日本人労働者と同様に、雇用確保のための雇用調整助成金制度の対象となるほか、4月27日時点で住民基本台帳に登録されていれば、特別定額給付金を受けることができるなど、さまざまな支援を受けられます。
 
ただし、技能実習生の立場を根本的に改善するためには、外国人労働者であることを理由として、日本人労働者よりも不利に扱われることがないよう、労働法令の厳正な適用が必要であることはいうまでもありません。

 

小幡 葉子 Obata Yoko
日本国及びベトナム外国弁護士。JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
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