越の国の法律相談 No.001

2017年度の新車 販売台数は前年割れ

ベトナムといえばバイクと答える方も多いと思いますが、街中の自動車数が年々増加していることを感じておられる方も多いのではないでしょうか。

しかし、ベトナム経済の堅調な成長に従い自動車市場が今後も拡大するとみられる一方で、2017年度の新車販売台数は前年割れしました。
その大きな要因の一つは、2018年1月1日からASEAN諸国における輸入完成車の関税が撤廃され、輸入完成車の方が国産車より安価で入手できると予想されたことから、買い控えがあったとされている点です。

不動産最大手ヴィングループも自動車製造に参入すると発表し、国内自動車産業を育成したい政府はこれに対抗する形で、政令第116/2017/ND-CP号を発布しました。
具体的には、自動車輸入業者に対し、輸入新車について輸入検査時に他国当局が発行する車両品質証明書の提出や、船積みごと・車両クラスごとに品質管理当局による排気量及び安全性検査の車両検査を課すといった内容です。また、輸入中古車に対しても政府は政令第125/2017/ND-CP号を発布し、中古自動車に対する輸入関税を大幅に引き上げました。

その結果、2018年度初頭にはごくわずかに輸入が認められたものを除き、完成車の輸入は事実上停止しました。
なお、執筆時点での不確定情報ですが、タイからの輸入は今後認められるようです。

政府は政令見直しの 是非を検討か

ASEAN域内の関税撤廃に備えて現地生産車種を絞り、完成車の輸入に切り替える動きもあった中でのこうした政府の対応に、自動車業界や周辺諸国からも戸惑う声があり、政府は自動車業界や外国関係者から意見聴取し、政令の見直しの是非を検討しています。

ベトナム政府による明確な自動車発展マスタープランを早急に策定する必要があります。

 

小林 亮 Kobayashi Ryo
日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスで多数の
東南アジア案件を担当後、2014年4月より現職。
TMI総合法律事務所
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