越の国の法律相談 No.042

国家機関を装った
詐欺の手口が横行

いま日本で詐欺といえば、振り込め詐欺をはじめ、フィッシング詐欺、仮想通貨詐欺などさまざまです。税務署や裁判所などの国家機関を装って騙すケースも少なくありません。
 
ベトナムでも最近、警察・検察・電力公社などの担当者と電話で名乗り、被害者に銀行送金させるという手口が広まっており、2021年上半期だけでも700件以上(公安省発表)に達しています。
 
例えば、2020年7月には、ハノイの80歳の女性が、「ハノイ市警察」と名乗る者から、家族が麻薬犯罪で取り調べられるという電話を受けました。6億VNDの現金を用意して銀行に向かい、振り込もうとしたところ、銀行スタッフが機転を利かせて警察に通報したため詐欺だと発覚した、という事件が発生しています。
 
同年11月には、台湾人グループがベトナム人を雇い、公安と名乗って電話詐欺を実行させていた事件が起こりました。台湾のメディアで報道されており、組織化もかなり進んでいるようです。

詐欺罪は厳重に
処罰される

ベトナムでの詐欺犯に対する処罰は、日本と比べてかなり重くなっています。
 
詐欺罪の法定刑が、日本では10年以下であるのに対し、ベトナムでは、被害金額や犯行態様によって異なりますが、被害金額5億VND以上、または戦争状態・緊急事態に乗じた犯行の場合には、最高で終身刑まで科すことができます。
 
また実際に言い渡される刑もベトナムのほうがかなり重くなっています。例えば前出の台湾人グループによる事件の裁判では、台湾人・ベトナム人とも懲役5年から15年の実刑判決を受けています。

違和感を感じたら
すぐ周囲に相談を

外国人をターゲットにする電話詐欺は、まだ見られないようですが、これから詐欺グループの国際化・組織化が進むと、巧妙な手口が編み出されないとも限りません。
 
詐欺にあわないためにも、心当たりのない場合は一人で抱え込まないように。直ちに周囲の信頼できる友人、知人、ベトナム人スタッフ等にSOSを送り、代わりに電話に出てもらう、警察に通報してもらうなどが肝心です。

 

小幡 葉子 Obata Yoko

日本国及びベトナム外国弁護士。JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。

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