越の国の法律相談 No.007

政府のタクシー規制強化と業界の対応

日本から家族や友人がベトナムに来るとき、「タクシーに乗っても大丈夫?」と聞かれたら、皆さんはどう答えていますか?

悪質なタクシーによる被害は、2010年前後の数年間がピークで、日本人乗客に正規の20倍もの料金を要求したドライバーが詐欺罪で処罰されたり、また在ホーチミン日本国領事館が日本人旅行者向けに「ぼったくりタクシー防止カード」を発行したりという状況でした。

一方、政府とタクシー業界が本格的に対策に乗り出し、2014年の政令改正によって、以下のことが義務付けられました。

▽2015年7月までにブラックボックス(運行記録装置)を設置すること(86号政令14条)

▽2016年7月までに領収書プリンター付きメーターを設置、印刷した領収書を乗客に交付すること (86号政令6条)

íこれらの新しい政令により、大手タクシー会社は2014年から試験導入をはじめました。

規制に違反すると、タクシー会社に対して400万VND以上600万VND以下、運転手に対して60万VND以上80万VND以下の行政罰金、およびこれら装置の設置命令が科されます。

この規制によって、タクシーのぼったくり行為は、一掃とまではいえなくても、大幅に減少したようです。

関心はタクシーと配車アプリの競争へ

一方、2016年から配車アプリ事業の試行期間が開始され(2018年1月の期間満了後も、新政令が施行されるまでの間、期間が延長されています)、それ以降タクシー業界は配車アプリとの熾烈な競争に突入し、政府や業界の関心もこちらに向いているようです。

とはいえ、今年になっても、ハノイでは、外国人の乗客におつりとしてお供え用の「冥府券」を渡すという古典的な詐欺が発生しており、家族や友人には、油断しないようにくぎを刺しておいた方が安全ですね。

 

小幡 葉子 Obata Yoko
日本国及びベトナム外国弁護士。JICAベトナム法整備支援
長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
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