【ベトナム税務・会計】国際財務報告基準の
リース取引について
EY大手会計事務所のベトナム事情 No.012
IFRS16号の強制適用が開始
EYベトナムの小野瀬です。第12回の対談は、日系企業担当の若杉俊哉マネジャーです。
小野瀬 国際財務報告基準のリース取引に関する新基準IFRS16号が、2019年1月1日開始事業年度から適用となりました。ベトナム会計基準への影響はありませんが、国際財務報告基準に準拠して親会社へ報告を行っているベトナム子会社では、グループ連結財務諸表作成に対応が必要です。
若杉 新基準ではリースに対する基本的な考え方が変更されました。従来の基準ではリース取引をリスクと経済価値の移転(リスク・経済価値モデル)で把握していましたが、新基準ではリース資産を使用する権利を支配しているか否か(支配モデル)で捉えます。その結果、リースの定義も変更されて適用範囲が拡大されているため、リース会計基準の適用がされていなかった契約も対象になる可能性があります。
基準変更の影響は早期に把握を
小野瀬 会計処理はどの様に変更されますか。
若杉 貸手の会計処理について実質的な変更はありません。借手については、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区別がなくなり、単一のオンバランス・モデルを採用するという大きな変更がありました(一部例外あり)。従来のオペレーティング・リース取引について行われていた賃貸借処理が原則としてなくなり、借手のリース取引はすべてリース資産とリース負債をバランスシート上で認識(オンバランス)し、両者に関連する減価償却費や利息費用を計上する必要があります。
例えば、土地の使用権は一括前払い済であればインパクトはありませんが、毎年または分割で使用料を支払っている場合、基準変更で新たにオンバランス処理する必要が出てきます。土地のリース契約内容を再確認する必要があると思います。
小野瀬 今回の基準の変更は影響が大きいので、国際財務報告基準に準拠した財務報告を行っている場合、グループ内での連携や担当会計監査人への相談を密にする必要がありますね。
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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