EY大手会計事務所のベトナム事情 No.004

支払利息は税務上の費用(損金)になるのか

EYベトナムの小野瀬です。第4回の対談は、日系企業担当の西川貴陽マネジャーです。

小野瀬 近年、支払利息が税務上の費用(損金)として認められるかについて、様々な論点が出てきていますね。

西川 2017年5月より、Decree20が適用となっており、EBITDA(金利・税金・償却前利益)×20%を超える支払利息ついては超過部分は損金不算入とされています。この件に関してはまた次回詳細をご説明したいと思います。

小野瀬 この他、過小資本税制の導入も検討されていましたね。

過小資本税制の適用は見送りへ?

西川 そうですね。過小資本税制とは、内国法人に対して海外の親会社などから資金提供を行う際、出資と貸付の比率が一定の値を超えた場合はその支払利子の損金算入を認めないという制度となります。これは内国法人が海外の親会社から資本としてではなく、借入で多くの資金調達をすることによる節税防止が目的です。

例えば、ベトナムの会社に対し、海外の親会社が資本金100を投入し、配当を毎年10行ったとします。配当は税務上の費用(損金)として認められないため、毎年20の利益が発生している場合には、20×20%(通常の法人税率の場合)により4が法人税となります。

一方、ベトナムの子会社に対し、海外の親会社が借入として100を投入し、利率を10%に設定し、利息として10を徴収したとします。この場合、利益が20発生していたとしても10は支払利息として損金に算入されるため、残りの10×20%の2が法人税となります。ベトナム政府としてはベトナムの会社に資本として資金提供してもらった方が税収が増え、嬉しいわけです。

小野瀬 この過小資本税制については2019年1月より適用が予定されていましたが、外資系企業の抗議の声が多く、適用が見送られる予定となっています。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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