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Yベトナムの小野瀬です。第18回の対談は、前回に引き続き監査担当シニアマネージャーのDoanhさんです。

小野瀬 ベトナムにおいて、会計帳簿に記帳する際に使用する通貨(以下、機能通貨)について、ベトナムドンや米ドルを使用しているケースが見られますが、ベトナム会計基準上の取扱いについて教えてください。

Doanh 現在のベトナムの会計基準においては、機能通貨は、原則としてベトナムドンとするとされています。しかし、一定の要件を満たす企業については、ベトナムドン以外の通貨を機能通貨として用いることが可能とされています。具体的な要件については、①製品の販売やサービス売上が主に外国通貨建てとなっている、②材料やサービスの購入またはその他の製造経費等が主に外国通貨建てとなっている、③借入金や増資等の資金調達が外国通貨で行われている、などがあります。

ただし、要件における「主な」という点は詳細な数値基準が定められておらず、注意が必要となります。また、上記の要件を満たした場合に機能通貨として外国通貨を使用する場合には、企業を管轄する税務署へ通知をする必要があります。

小野瀬 現在、外国通貨を使用している企業が、販売時の契約上の通貨を変更した場合や、ベトナム調達比率を上げた場合などには、上記の要件を引き続き満たすかどうかを定期的に確認をすることが必要となりますね。

Doanh
 前述の要件を満たして外国通貨で記帳を行っている企業も、関連当局への提出用の財務諸表については、ベトナムドン建ての財務諸表が必要となる点についても注意が必要です。

小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com