【ベトナム経営】Vol. 14
ALSOK Vietnam Security
アルソック ベトナムセキュリティ
警備会社として“守る”を胸にベトナムの安全・安心に貢献
2019年4月、ハイフォン市に本社を置くアルソック(ALSOK)ベトナムセキュリティと、ホーチミン市にあるアルソックベトナムが事業を統合し、1社体制となった。同社代表の藤島氏に事業体制を1本化した経緯や、今後の展望を聞いた。
警備事業をM&Aで拡大
より充実したサービスを提供
――ベトナムの連結子会社の事業体制が変更となりました
藤島 2009年11月のアルソックベトナムの設立当初は、現地警備員を指導するコンサルティングや、警備関連機器の販売などが中心で、実際の警備は現地企業に業務を委託していた状態でした。警備員の自社採用を行っていなかったのは、警備業がベトナムの公安省の管轄で外資の規制が厳しかったなどの理由があったのです。その後、規制が緩和されたこともあり、ハイフォン市にあった警備会社を買収して2016年12月に連結子会社とし、自社の警備員を持つことができました。
そのような経緯で2社体制になっていたのですが、業務の効率化などを考えると1社体制が望ましく、セキュリティ社の方へコンサルタント業務や機器販売業務を移行し、すべて完了したのが今年に入ってのことです。事業規模が拡大したことで、これまで以上のサービスの提供が可能になりました。
――当地での主な提供サービスを教えてください
藤島 弊社は常駐警備や監視カメラシステム、赤外線センサーなど、様々なセキュリティ関連サービスを提供しています。ベトナムでは常駐警備サービスが圧倒的な需要を誇っており、北部はハイフォン市、南部はビンズオン省に自社研修センターを保有し、新任研修やリーダー研修などを実施しています。弊社は日系企業なので、日本のホスピタリティの指導や品質向上に向けた対策も行っています。
ただ、今は人件費が安いので常駐警備が一般的ですが、人件費の高騰も視野に入れていかなければなりません。また、日本では外部からの盗難を心配している人が多いですが、ベトナムは商品の持ち出しなど内部の犯行が多くあります。犯行の手口は様々で、犯行現場を捉えるにも人間の目では限界があり、センサーなどに頼らざるを得ない場合があるため、弊社としては今後、機械警備サービスの提供に力を入れていきたいと思っています。とはいえ、常駐警備員のホスピタリティが好評な部分もあり、人と機械の両方を掛け合わせた”オールウェイズセキュリティ(ALways Security)OK“な警備の提案を行っていきたいです。
――2007年以降、東南アジアへの進出が続いています
藤島 2007年にタイ、2009年がベトナム、2013年にインドネシアと、日本人駐在員が多く集まるアジアの主要都市に事務所を構えています。海外進出当初は、現地の日系企業に対し、日本と同様の警備サービスを提供するのが目的でした。日本式の警備サービスを現地でも拡大したいという思いが次第に強くなり、弊社の中期経営計画にはその点が盛り込まれました。海外ではまだまだ弊社の存在が知られていない状態なので、今後はブランディングも強化して、ベトナムでの知名度を上げていきたいです。
感謝の気持ちを忘れずに
社会貢献活動にも尽力
――AED(自動体外式除細動器)の普及にも力を入れていますね
藤島 日本では近年、AEDが各地で見られるようになりましたが、ベトナムでは救急車には積まれておらず、医者でも使い方を知らない人がいるくらい、その存在が知られていません。仕事中や、マラソンなどスポーツイベントで人が心停止して亡くなった、という話も聞きます。
弊社は人々の生活を守る警備会社として、目の前の命を救えるAEDの普及・啓蒙活動も積極的に行っており、これまでに大手企業やホテルなどへ提供、病院へ寄付するなど、現在はベトナム全土で徐々に普及が進んでいます。また、弊社の職員はAEDの使用方法を学んでおり、社外向けのセミナーを定期的に開催しています。
――ベトナムで大切にしていることを教えてください
藤島 ベトナム人の多くは日本人を尊敬してくださっています。だからこそ、私たちもベトナム人を尊重して対応しています。ちなみに弊社には社長室がありません。自身を常に社員と触れ合える環境に置いて意見を聞き、社員に頭を下げる姿勢でいるよう心がけています。
私たちは警備会社として、建物、財産、人を、いろいろなことから守る立場なので、誠実で、正確で、強力で、迅速に行動できる人でなければなりません。そして、お客様をはじめ、ベトナムという国、社員に対しても「ありがとう」の気持ちを忘れず、ベトナムの安全・安心を守り、貢献できる企業になっていきたいです。
2009年11月、綜合警備保障株式会社(ALSOK)の100%子会社としてアルソックベトナムをホーチミン市に設立。2019年4月より、ハイフォンのアルソックベトナムセキュリティに事業が引き継がれて1社体制となった。ハノイ市とダナン市にも事務所を構える。
HIROSHI FUJISHIMA
1974年生まれ。埼玉県さいたま市出身。1997年、綜合警備保障株式会社(ALSOK)に入社。アフリカの大使館、米国の総領事館で警備担当者として勤務後、広報部や茨城支社の副支社長などを経て、2018年4月に来越。同年6月より現職。
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