越の国の法律相談 No.006

ベトナム観光ガイド協会加入が義務に

ベトナムでは、改正観光法(法律第09/2017/QH14号)が2017年国会で成立し、2018年1月から施行されました。

従来からベトナムでは観光ガイドには、国内資格と外国人観光客を案内できる国際資格に分けて一定の資格要件が定められています。

国際資格を取るには、ベトナム国籍のほか、観光ガイドの学位等を有し、外国語が堪能であることなど、厳しい条件があり、無資格のガイド行為には、行政罰金が課されます。

改正観光法は、これらの資格要件に加えて、フリーランスの観光ガイドに対し、ベトナム観光ガイド協会への加入を義務付けました。

今回の改正の趣旨は、ベトナムに2万人いる観光ガイドの9割以上を占めるとされるフリーランスの観光ガイドを協会の管理下に置くことで、ガイドの質を確保し、外国人観光客のリピート率を改善することにあるようです。

観光人材の育成と制度の整備が急務に

ところが、協会加入に伴う会費の支払負担に対して、ガイド達の間に不満が広がり、ホーチミン市観光局は、観光ガイドがライセンスを有し、旅行会社と雇用契約を締結していれば、協会の会員であるか否かに関わらず、観光ガイドを行うことができると説明しました。

しかし、これは協会加入義務を負うのがフリーランスの観光ガイドであることを暗に示したもので、加入義務を免除する何らかの特例を認めたものではないと考えられます。

改正観光法に基づき、観光開発振興基金が設立されると言われており、同基金の目的の一つとして観光人材の育成と訓練の支援が挙げられています。

近年、慢性的な観光ガイド不足が指摘される一方、違法な無資格観光ガイドが問題となっている状況を鑑みると、専門学校など、良質な有資格観光ガイドの育成制度を整備することが、観光立国を目指すベトナムにとって急務であるのかもしれません。

 

 

岡田英之Hideyuki Okada
日本国及びベトナム外国弁護士。ホーチミン市、
ハノイ両オフィス開設時からベトナムに常駐。両事務所の代表を務める。
TMI総合法律事務所 Ho Chi Minh City Office
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