中を散歩していると、無断使用と思われる会社ロゴが表示されている標識をあちらこちらで目にします。自社の会社ロゴの無断使用を防ぎたい場合、どのような事前対策を施すことができるでしょうか。

ベトナムで会社ロゴを保護するためには、ベトナムにおいて商標として登録することが実務上必須であると考えられます。ベトナムにおける商標登録は、資格を有する知的財産エージェントを通じた国家知的財産庁(NOIP)への登録のほか、マドリード協定議定書(マドプロ)に基づく国際登録制度を利用して、ベトナムを含むマドプロ加盟国の商標登録を日本の特許庁を通じて一括出願する方法でも行うことができます。NOIPへ登録する際は、申請書類はベトナム語になりますが、国際登録の場合、申請書類は英語です。また、商標の保護範囲は、原則として登録した指定商品・役務に限定されますので、出願の際には、出願する指定商品・役務の範囲をよく検討すべきです。

登録された商標の無断使用は権利侵害行為に当たりますので、無断使用者への警告書送付、所轄行政庁(省級市場管理局等)に対する無断使用の差止め・廃棄の申立て、裁判所での損害賠償請求等を行うことができます。

また、商標登録がされていないことを利用し、第三者が悪意をもって先に出願する「冒認出願」に対抗するには、NOIPに対して商標登録証書の付与に対する異議申立てを行って、登録を阻止できる可能性もあります。

日本国内では会社ロゴの保護に万全を期していても、ベトナムまで手が回っていない、というケースも少なくないと思われます。会社ロゴがベトナムで適切に保護されているか、一度確認されてみてはいかがでしょうか。

小林 亮
Kobayashi Ryo
TMI総合法律事務所ホーチミンオフィスに勤務する、日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスにて多数の東南アジア案件を担当後、2014年3月よりホーチミンオフィス駐在。
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