越の国の法律相談 No.033

2019年にベトナム国家イノベーションセンター(NIC)の設立に関する首相決定が公布されました。NICは計画投資省の管理下にある公共事業とされ、スタートアップ企業のためのエコシステム(ビジネス生態系)を支援・開発し、科学技術開発に基づくイノベーションおよび成長モデルを促進するミッションを持つものとされました。

NIC内に通信、情報技術、自動化などの分野のオフィス・研究開発部門を設置するスタートアップ企業は、以下のような優遇措置・税制を享受することができます。

スタートアップ企業の入札

入札法が適用される入札に参加する場合、歳入、財源、同種契約を含む入札者の適格および実績提案書などが免除されます。また、入札パッケージ・提案の評価過程で、入札法に従い国内生産コストが25%以上の商品提供入札者に対して適用される優遇措置と同様の措置を受けることができます。

NICによる行政手続の支援

製品・サービスに関する研究・投資・取引、商品化の過程における行政手続の実施支援、入国ビザ・労働許可書と在留許可書の申請支援、広告、投資促進の支援およびスタートアップ・イノベーションエコシステムへのアクセスの提供を受けられます。

企業設立手続および工業所有権

企業を設立する際、計画投資局事業登録部門が有効な申請書類を受領した日から1営業日以内に企業登録証明書の発行を受けられます。また、工業所有権登録手続きが優先的に処理されます。

税率その他

知的財産、技術および新規・急成長する事業モデルの開発を基礎に自身のアイデアやコンセプトを実用するため、政府・国内外の企業・組織・個人の研究支援プログラムから寄付を受けることができ、税法上規定する最高優遇税制も受けられます。

 

小林 亮 Kobayashi Ryo
日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスで多数の東南アジア案件を担当後、2014年4月より現職。1年のアメリカ留学を経て、2019年9月に復帰。
TMI総合法律事務所ホーチミンオフィス
電:(028) 6299 0666
メール:hochiminh@tmi.gr.jp
ウェブサイト: http://www.tmi.gr.jp