EY大手会計事務所のベトナム事情 No.039

駐在員の隔離費用等
の法人税の取り扱い

EYベトナムの小野瀬です。第39回の対談は、日系企業担当の守山成寿マネジャーです。

小野瀬 COVID‐19感染拡大の防止対応のため、駐在員のベトナム入国時における隔離措置に関して費用を計上した企業も多いと思います。当該隔離関連費用について、税務上の留意点を教えてください。

守山 駐在員の隔離関連費用の税務上の取扱いについては、税務総局が2020年11月26日付でオフィシャルレター5032/TCT‐CS号を発行しています。法人税法上、駐在員の労働契約書において企業が駐在員の宿泊費を負担することが明記されており、かつ有効なインボイスと書類が揃っていて、さらに銀行送金によって支払いが行われた場合は、当該隔離期間の宿泊費は損金算入可能であると定められました。また、航空券の購入費用も、出張費に関する社内規定に則して支払いが行われており、有効なインボイスと書類を具備していて、さらに銀行送金によって支払いが行われた場合は損金算入可能となります。

さらに、COVID‐19の検査費用(PCR検査代)は、従業員の福利厚生費とみなされます。福利厚生に関する社内規定に即して支払いが行われ、同様にインボイス等の書類を十分に具備している場合、損金算入可能となります。ただし、福利厚生費の損金算入の上限は従業員の平均給与の1ヶ月分までとなります。

当該費用は個人
所得税の課税所得に

小野瀬 隔離措置に関する費用について、法人税法上の取扱いが明確になったということですね。ところで個人所得税法上の取扱いはどうなるのでしょうか。

守山 隔離措置に関する費用を駐在員に代わり企業が支払っている場合には、当該費用は駐在員の給与として、個人所得税の課税所得とみなされることが明記されました。従って、隔離措置の対象となった駐在員の個人所得税を申告納税する際は注意が必要です。

小野瀬 最近はCOVID‐19の影響により、隔離措置に関する費用を含め、想定外の費用を計上した企業も多いかと思いますが、不必要な税金コストを避けるため、最新の税務上の取扱いをしっかりと確認しておく必要がありますね。

小野瀬 貴久 Onose Takahisa
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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