EY大手会計事務所のベトナム事情 No.020

みなし輸出入取引の原材料への関税

EYベトナムの小野瀬です。第20回の対談は、日系企業担当の浅野智道マネージャーです。

小野瀬 2018年に発行されたOfficial letter5826/TCHQ―TXNK(以下、OL5826)において、2016年9月1日以降、みなし輸出入取引(On the spot export import)の製造のために輸入される原材料は関税の免税対象にはならないとされたことで、大きな議論を呼びました。一連の動きを教えてください。

浅野 みなし輸出入取引では、契約書上は海外の取引先に対する輸出とみなしますが、実際の物は取引先の指示により国内輸送されます。Decree134/2016/ND―CP第12条において、輸出品の製造のために輸入された原材料は関税が免除されるとされていますが、みなし輸出入取引が当該免税対象となるかが明確ではありませんでした。

OL5826において、みなし輸出入取引が免税対象ではないとされたことで、免税と考えて関税を支払っていなかった企業から関税、遅延利息およびペナルティーを徴収するよう、税関総局は地方税関当局にリクエストしました。

請願書等が功を奏し、免税対象に変更へ

小野瀬 OL5826はみなし輸出入取引を行っている企業にとっては二重課税による影響が大きく、JCCH等の多くの団体・企業が請願書を首相および政府機関に提出しました。その後どのような対応がなされたのでしょうか。

浅野 2019年6月25日付でOfficial letter4138/TCHQ―TXNKが発行され、みなし輸出入取引のための原材料にかかわる関税は免税対象になると決まりました。多くの企業等からの請願書を受けて、OL5826とは異なる結論になりました。

小野瀬 みなし輸出入取引は関税の取り扱い等の複雑な論点もあることから、レギュレーションの変更も含め、注意が必要ですね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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