賢者の税務・会計術 vol.039

予定納税の遅れは
遅延税の対象に

こんにちは。AGS アカウンティングの堀切です。本稿では、ベトナム法人税の予定納税について要点を解説します。ぜひ最後までご一読ください。
 
ベトナム法人税法は、ベトナム企業に対して四半期毎の予定納税と年次の確定申告を義務付けています。四半期毎の予定納税は、納税者の任意の金額で実施します。
 
2021年施行の政令126/2020/ND‐CPによると、納税者は各事業年度の第3四半期までに年税額の75%以上を国庫へ予定納税する必要があります。
 
12月決算の企業なら、2021年第3四半期の納税期限である10月末日までに、年税額の75%以上の納付が必要です。
 
ポイントは、第1四半期と第2四半期の予定納付額には何ら規制がない点と、第3四半期までに納付されない場合は、不足金額に対して延滞税が課税される点です。
 
延滞税を避けるために予定納税を期日通り実施する必要があるほか、年間の総売上高と総費用額の予想、加えて、法人税計算の各種調整についても予算を実施する必要があります。
 
12月決算の場合は、未払テト(旧正月)賞与金額や、会社負担とする駐在員の未払所得税額を当期の決算に反映するか否かが法人税額に影響を与えるため、予定納税額の試算には留意が必要です。

以前よりも
税金徴収を強化

2020年のコロナ危機以後、ベトナムでは中小企業や個人事業者の保護に向けて、税制優遇や、歳入の安定化のための税金徴収強化の規定が発令されています。
 
これまでの規定では、第4四半期までに年税額の80%以上の納付が求められていた事を勘案すると、本規定は事実上の税金徴収強化となります。
 
その他、外国法人のベトナム駐在員事務所や輸出加工企業(EPE)等、付加価値税(VAT)申告義務がない企業・組織に対して、所得税を毎月申告・納税するよう定める規定が発令されました。従前の四半期毎の申告納税に比べて、外資企業に対する税金徴収が強化されているようです。
 
予定納税を正しく実施するための法人税額の基本的な計算や、コロナ対応の一環である法人税の優遇措置などの詳細は、専門家へのご相談を推奨します。

日本国税理士。2012年よりベトナム常駐で会計税務業務へ従事。ベトナム赴任前は、東京の会計事務所にて多くの外資系企業へ日本国内税務業務提供。
【AGS Accounting Co., Ltd. ハノイ市事務所】
堀切 泰孝 Horikiri Yasutaka
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