賢者の税務・会計術 vol.033

ベトナム国内、国外の所得の合算が必要

こんにちは。AGSの貝沼です。今回は所得税確定申告の注意点をご案内します。ベトナムでは居住者に対し、税率35%を上限とした累進課税制度を採用しており、ベトナム居住者の要件を満たす就労者は、ベトナム国内所得に加え、国外で生じた所得も合算して申告を行う必要があります。ベトナム所得税の実務を行う際は、現物給与として課税される範囲の確認が重要です。すなわち、ベトナムでは、日本より非課税所得の範囲が狭く、個人名義のゴルフ会員権や2回目以降の帰国手当、住宅家賃手当等の個人に対する給付は給与所得として課税されます。会社が就労者の住居を借り上げしている場合は当該従業員の所得の15%もしくは家賃のいずれかの低い金額が所得として加算されます。また、出張関連費用や学費を会社が負担する際、社内規定や労働契約書に当該給付内容が明記されていない場合は、給与所得とみなされます。そのため、ベトナム居住者となる就労者は、その所得税の予算を策定する時点で、給与金額のみならず、社内規定及び労働契約書記載内容等の確認も必要になります。

留意すべき変更点

昨年との変更点は次の通りです。
◇個人として年次確定申告を行う場合の申告納付期限:暦年の翌年4月末まで(改正税務管理法38/2019/QH14第44条2項b)
◇基礎控除額の変更: 9000万VND/月から1100万VND/月に引き上げ(954/2020/UBTVQH14第1条1項)
◇扶養控除額の変更:360万VND/月から440万VND/月に引き上げ(954/2020/UBTVQH14第1条2項)
 
税務局は出向者の所得水準や処遇を熟知している場合があり税務調査で指摘されやすいため、詳細は専門家にご相談ください。

AGSハノイ事務所勤務。官公庁での税務業務、青年海外協力隊を経て、2018年より現職。ベトナム語を猛特訓中。
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