政令126号における
予定納付と、その課題

ベトナム企業は、法人税を四半期ごとに当該四半期の末日から30日以内に予定納付することが求められており、年度末の確定申告で、予納額と最終税額の過不足を調整します。

予納額には、最低金額が定められており、それを下回る金額については延滞税の対象となります。

最低金額について、従前は、第4四半期までにその年の確定税額の80%以上の予定納付が必要とされていましたが、2021年施行の政令126号では第3四半期までに確定税額の75%以上の予定納付が必要と修正されました。

これにより、第3四半期時点で、確定税額の見積りが必要となりましたが、実務上、テト等の季節的な影響による出荷の増加や為替の影響等により、第4四半期に利益が集中して当期損益が第3四半期時点の予測よりも上振れすることも多く、対応困難であることが課題となっていました。

政令91号による改正と
適用される事業年度

これについて、2022年10月発行の政令91号において、四半期の予納最低額は再び「第4四半期までに80%以上」に戻されました。

本政令は、2021年第3四半期までの予納額が最終税額の75%未満であれば、2021年度より適用でき、政令126号に基づき追徴された延滞税がある場合は還付可能とされていますが、実務上の取り扱いについては注視する必要があります。

西川 貴陽 Nishikawa Takaaki
公認会計士(日本・米国)、日系企業担当インドシナ副統括ディレクター。EY新日本有限責任監査法人にて、監査業務や株式公開支援業務、財務デューデリジェンス業務に従事後、2016年よりEYベトナムに赴任。
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