賢者の税務・会計術 vol.002

こんにちは、AGSの辻です。前回に引き続き、外国契約者税(FCT)がテーマです。

FCTは外国の法人や個人(外国契約者)がベトナムの法人や個人(ベトナム契約者)に対してサービスを提供した際に、その対価に対して課される税金ですが、いくつか契約書において明確にしておくべき事項があります。

そこで、今回から次回にわたって、契約締結時の留意点についてご案内したいと思います。

誰がFCTの負担者にあたるのか

まず1つ目はFCTの負担者です。FCTは原則的には外国契約者によって負担されるべき税金ですが、実務的にはベトナム契約者を負担者とすることも可能です。

外国契約者負担の場合はグロス契約、ベトナム契約者負担の場合はネット契約といった表現を一般的に用いますが、グロス契約かネット契約かでFCTの計算方法が変わります。

グロス契約の場合は単純に契約額に対してFCTの税率を乗じて税額を算出します。ネット契約の場合は契約額に対してグロスアップ計算を行い、理論上の課税標準を算出してからFCTの税率を乗じます。

この計算により課税標準が上がるため、ネット契約の方が税額が大きくなります。

表現により、税務リスクが発生する可能性も

留意点としては、もしも契約書にFCT負担者が明記されていない場合は、例えグロス契約のつもりで税額を計算していたとしても、税務調査時に、より税額の高いネット契約での納税を求められる可能性があります。

また、そもそも経理担当者がどちらの計算方法を用いるべきか分からず、業務が止まってしまう危険性もあります。

この他にも、表現の違いが税務リスクを左右するケースがありますので、契約締結時は専門家にご相談されることをおすすめします。

次回も引き続き契約締結時の留意点をご案内します。

辻 雄太
米国公認会計士。日本の大手メーカーでの勤務を経て2015年より現職。国際税務・国際会計基準対応などに強みを持つ。
A. I. Global Sun Partners JSC
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