越の国の法律相談 No.043

昨今、海外からベトナムで広告サービスを提供する者(外国広告事業者)に対する納税義務等、規制強化の話題が取り沙汰されています。今回は、広告法との関係における規制を紹介します。

外国広告事業者へ
直接の広告出稿

旧政令では、ベトナム国内企業その他のベトナム組織・個人は、外国広告事業者のウェブサイトで商品・サービスの広告を掲載するためには、ベトナムで合法的に運営登録された広告サービス事業者(国内広告事業者)を経由しなければならないとする規制がありました。 2021年9月15日から施行される改正政令では、この規定を削除し、国内広告事業者を通さずに直接、外国広告事業者に出稿できるようになりました。

情報通信省への
通知義務

他方で、旧政令は、外国広告事業者は広告を行う15日前までに、広告サービスの提供を委任した国内広告事業者の名称・住所等の情報を、文化スポーツ観光省に通知するよう定めていました。
 
改正政令では、通知先を情報通信省に変更。委任した国内広告事業者ではなく、外国広告事業者自身の組織名・商取引名称、住所、サービスを提供するメインサーバーシステム(ベトナムにある場合を含む)の所在地、ベトナムに拠点がある場合の住所等の情報を情報通信省に通知しなければならないとしました。

外国広告事業者の
法令違反の処理

外国広告事業者に対する違反広告の規制も改正政令で強化されました。
 
具体的には、外国広告事業者が行った違反広告の内容は情報通信省のポータルに掲載。情報通信省の要請を受けてから24時間以内に法令違反広告を処理しなければなりません。正当な理由なく法令違反広告を処理しなかった場合、情報通信省は法令違反広告を防止するための措置を講じられるようになりました。
 
また、国内の広告サービス事業者・広告発行者・広告主は、上記の処分を受けた外国広告事業者のウェブサイトを使用することも禁止されいます。
 
外国広告事業者に対する、より直接的なコントロールが意図されていると考えられますので、留意が必要です。

 

小林 亮 Kobayashi Ryo

日本国/NY州弁護士・ベトナム外国弁護士。東京オフィスで多数の東南アジア案件を担当後、2014年4月よりホーチミン市オフィス駐在。1年のアメリカ留学を経て、2019年9月に復帰。

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