【ベトナム法律】
EVFTA(EU・ベトナム自由貿易協定)がいよいよ発効へ
越の国の法律相談 No.029
8月1日に発効見込み物品貿易の取り決めに注目
2019年6月30日にEVFTAが締結され、2020年2月12日に欧州議会本会議、3月30日にEU理事会が承認し、EU側での批准手続きが完了しました。そして6月8日にベトナム国会も批准議決案を可決し、EVFTAは8月1日に発効する見込みです。EUにとって、ベトナムは東南アジア諸国ではシンガポールに続き2ヶ国目のFTA締結国となります。
EVFTAは物品貿易のほか、投資、知的財産、労働者の権利保護などの幅広い分野に関する取決めを規定する包括的な協定ですが、やはり物品貿易の取り決めが注目されています。
数年ごとに関税撤廃原産地基準の充足が条件
EUからベトナムへの輸出は、EVFTA発効と同時に品目ベースで48・5%の関税が撤廃され、7年後に91・8%、10年後に98・3%の関税が撤廃されます。また、ベトナムからEUへの輸出は、EVFTA発効と同時に85・6%の関税が撤廃され、7年後に99・2%の関税が撤廃されます。
EVFTAによる優遇関税の適用を受けるためには、貨物が原産地基準を充足していることが条件となります。6月15日にはベトナム商工省がEVFTAの原産地規則に関する通達第11/2020/TT‐BCT号を公布し、原産地証明書の書式を定めるとともに、6000EURを超えない貨物が自己証明の対象とされました。ベトナム財務省も輸出入税率表を定めた政令案を公表し、パブリックコメントを募集し、急ピッチで法令整備を行っています。
世界銀行によれば、EVFTAの発効により2030年にはベトナムの国内総生産を+2・4%、輸出額を+12%を押し上げる効果があるとのことです。EUの物品をベトナムで、ベトナムの物品をEUで目にする機会が増えることが楽しみです。
小林 亮 Kobayashi Ryo
日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスで多数の東南アジア案件を担当後、2014年4月より現職。1年のアメリカ留学を経て、2019年9月に復帰。
TMI総合法律事務所ホーチミンオフィス
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