【ベトナム法律】国際小口郵便の輸入関税が免除に変更点と、変わらない点とは
越の国の法律相談 No.044
国際郵便の輸入品
免税対象に
2021年4月25日から、改正輸出入税法の施行政令(改正政令)が施行され、オン・ザ・スポット輸出入、輸出品の生産加工のための輸入、EPE企業に関する税関検査・課税などの重要な改正がありました。
今回は国際小口郵便の輸入関税免税について紹介します。
旧政令では、クーリエサービス(民間企業による国際配送サービス)による輸入品の額が100万VND以下、または輸入関税額が10万VND未満の場合、輸入関税は免除されていました。
一方、クロスボーダー電子商取引(EC)の取引は近年、顕著に増加しています。その多くは少額取引であることから、クロスボーダーEC産業分野の発展・国内利用者の利便性向上・税関の業務負担軽減を目的として、改正政令では、国際郵便(万国郵便連合に加盟する公的機関・企業による国際配送サービス)による輸入品も、免税対象に追加しました。
ただし、輸入関税が免税となっても、輸入に関するそれ以外の制限(たとえば医薬品・化粧品・書籍・DVDなどは輸入許可申請が必要)は従前通りです。ベトナム国内の個人が海外のECサイトから商品を購入するには、やはり各種手続き(輸入許可申請など)を行う必要があることに変わりありません。
国際郵便の受け取り
件数制限の可能性
2021年上半期の国際郵便による輸入関税の免税対象となる小口輸入の取扱高は、新型コロナウィルス感染症の影響もあり、著しく増加しています。
以前から、輸入関税を免れるため、高額商品を小口に分けて輸入するケースは多いと見られています。政府は財務省に対しました。クロスボーダーECに関する新政令の草案を今年中に提出するよう指示し、新政令によって、例えばベトナム国内の利用者1人当たりの国際小口郵便の受け取り件数に制限を設けるなど、新たな規制が導入される可能性も複数のメディアで報じられています。
今後はますます、クロスボーダーECを利用する機会が増加することが予想されます。クロスボーダーECの一層の発展に期待したいところです。
日本国及びベトナム外国弁護士。JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
TMI総合法律事務所 Hanoi Office
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