越の国の法律相談 No.022

産後30日以内は
夫も育休取得可能に

日本では“イクメン”が何かと話題ですが、ベトナムでも近年、夫の育休制度が導入されています。

従前より、女性労働者は出産前後で原則として6ヶ月の産休(出産前は最大2ヶ月)を取得することができ、その間は社会保険給付金として給付月額(産休前6ヶ月月の平均給与月額)を受給することができます。

また、当該産休期間が終了した後も、雇用者と合意の上で無給休暇を取得することができるほか、職場復帰後も、12ヶ月未満の乳児を育児する女性労働者は、乳児への授乳等のために勤務時間中1日当たり60分の有給の休憩を取得することができるとされています。

これに加え、2016年1月1日に施行された社会保険法では、社会保険に加入している男性労働者は、妻が出産する場合に原則として5日の休暇を取得することができるようになりました。本休暇は、妻の出産後30日以内に取得する必要があります。また、本休暇中、夫は給付月額を24日で割った給付日額を受給できます。

基礎給与額の上昇で
一時給付金もアップ

さらに、出産した女性労働者は出産時点における公務員等の基礎給与額の2ヶ月分の出産一時給付金を受給することができますが、夫だけ社会保険に加入している場合には、夫が、妻の出産時点における基礎給与額の2ヶ月分の一時給付金を受給できます。上記の基礎給与額は2019年7月1日に149万VNDに引き上げられた結果、受給できる一時給付金も増加しました。

日系企業でも、上記の休暇制度を就業規則に追加することを検討されるケースが増えています。この休暇制度を活用して“イクメン“
が増加していくことが期待されます。

 

小林 亮 Kobayashi Ryo
日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスで多数の東南アジア案件を担当後、
2014年4月より現職。1年のアメリカ留学を経て、2019年9月に復帰。
TMI総合法律事務所
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